「BIPOC(バイポック)」という用語をご存じでしょうか。
マイノリティ(少数派)に関連する用語の一つなのですが、最近、海外の資料を確認していて、目にする機会が増えた用語です。
日本では、まだ、ご存じない方も多いと思いますので、今日は、このBIPOCという用語を紹介させて頂こうと思います。
早速、BIPOCの意味をご紹介します。
BIPOCは、3つの用語の頭文字を取った用語で、以下の意味を表しています。
B = Black(黒人)
I = Indigenous(先住民)
POC = People Of Color(有色人種)
すなわち、BIPOCとは、「黒人・先住民・有色人種」というマイノリティを表す言葉なのです。
BIPOCに対応する日本語の訳語で定まったものは、現時点では存在しません。
カタカナで表す場合には、英語での発音通り、「バイポック」と表現されるのが一般的です。
この用語が生まれた経緯は明確ではありませんが、2010年代前半から中盤にかけて使われ出したと言われています。
※なお、BIPOCという用語の一部を構成しているPeople Of Color(POC=有色人種)という用語は、昔から存在する用語です。
ビジネスを行う上では、マイノリティへの配慮が必要となる事は少なくありません。
性的マイノリティと呼ばれる概念に関係する「LGBTQ(エルジービーティーキュー)」という用語は、日本でも有名になりました。
職場などで配慮される事も多くなったのではないでしょうか。
そして、海外では、このLGBTQに加えて、その他のマイノリティへの配慮にも注目が集まっています。
その中でも、最近、アメリカで注目されているのが、「BIPOC(バイポック)」という用語で表されるマイノリティについての概念なのです。
※LGBTQについては、範囲が異なるLGBTやLGBTQ+といった用語も存在します。
アメリカで、この用語が注目されている背景についても触れておきましょう。
黒人への配慮については、BLM(Black Lives Matter)運動などで日本でも良く知られている通り、近年、アメリカでは様々なかたちで注目されています(もちろん、歴史的な重い過去もあります)。
そして、この黒人という概念に、配慮すべき対象として、先住民と有色人種を加えた用語が、このBIPOCという用語なのです。
なお、アメリカではアジア系へのヘイトクライム(憎悪犯罪)の問題にも注目が集まっています。
そのような背景もあり、以前よりも、有色人種への配慮を意識する事が大切になっている、と考えている米国人が増えているようにも思います。
また、BIPOCという用語が多用されるようになった背景には、「適切な用語を使うべきだ」という流れがある事も知っておいて頂いた方が良いかもしれません。
例えば、黒人を表す英語としては、以前から「African American(アフリカ系アメリカ人)」という用語がありました。
しかし、この用語の利用には、アフリカと関係の薄い黒人は含まれていないのではないか、といった懸念が付きまといます。
同様に、先住民や有色人種についても、ある特定の人達だけを指すような用語には、問題があるという考え方がある訳です。
ですから、「対象を絞り込まず、包括的に表す用語があった方が良い」といったニーズがあり、BIPOCという用語が求められているとも考えられるのです。
BIPOCについての説明は以上です。
日本で、このような問題を身近に感じている人の割合は、決して高いとは言えないかもしれません。
しかし、このような海外の動きについて理解しておく事は、日本人であっても重要な事であるように思います。
この記事が、皆さまの理解の一助となれば幸いです。