日本で最も有名な会社形態(法人の種類)は株式会社だと思いますが、この株式会社の英語表記には、様々な種類がある事をご存じでしょうか。
今日は、
「株式会社の英語表記には、どんな種類があるのか」
「株式会社の英語表記が複数存在する理由」
について。
最初に、株式会社の英語表記の種類について確認しておきましょう。
現在、日本で一定数使われている株式会社の英語表記としては、以下のようなものが挙げられます。
①Co., Ltd.
②Inc.
③Ltd.
④Corp.
⑤K.K.
以下では、それぞれの英語表記の意味合いについて確認していきます。
株式会社の英語表記①:Co., Ltd.
「Co., Ltd.」は、最も多く目にする株式会社の英語表記ではないでしょうか。
昔から存在する日本企業が自社名を英語表記する時に採用する事が多いイメージがあります。
では、この「Co., Ltd.」には、どのような意味があるのか。
実は、「Co., Ltd.」は「Co.」と「Ltd.」の組み合わせです。
「Co.」は「Company」の略、「Ltd.」は「Limited」の略です(略を意味する"."(ピリオド)が各単語の最後に付いています)。
そして、「Company」には「法人」という意味があり、「Limited」の意味は「制限された」といった意味になります。
ですから、単純に「Co., Ltd.」を和訳し直すと、「制限された法人」という事になります。
では、何が制限されているのか?と言いますと、会社のオーナーである株主の責任なのです。
様々な法人の種類がありますが、その中には、オーナーが事業の責任を取らないといけない形態もあります。
しかし、株式会社という法人形態においては、株主は、原則、「出資したお金以上の責任」を取る必要はない(=責任が制限されている)という事になっています。
この事が株式会社という制度の大きな特徴の一つなのです。
ですから、その事を明確に表す為に、法人を意味する「Co.」に「Ltd.」を付けて、株式会社の英語表記としているのです。
なお、「Co.」と「Ltd.」の間の「,(カンマ)」については、付けない表記方法もあります。
株式会社の英語表記②:Inc.
「Inc.」は、「Incorporated」の略です。
この「Inc.」は海外でも法人を表す際に用いられる用語で、特にアメリカで「法人組織」を表す際に用いられる表記です。
ですから、アメリカ式に「法人」という事を強調したい会社が、「Inc.」を使う事が多いように思います。
なお、「incorporate」という英単語は「法人格を取得する」や「法人組織にする」といった意味を持つ動詞や「法人化された」といった意味を持つ形容詞です。
株式会社の英語表記③:Ltd.
「Ltd.」は「Limited company」の略です。
「Limited」は、①でも説明した通り、「制限された」という意味であり、①から「Co.」を抜いて後半部分だけにした形と言えます。
有限責任である事を強調した表記となりますが、実は、この「Ltd.」は、英国で良く用いられる表記です。
日本でも、海外との取引が多い企業を中心に、多くの企業が採用しています。
株式会社の英語表記④:Corp.
「Corp.」は「Corporation」の略です。
「会社」または「法人」という意味の英語をそのまま持ってきて、株式会社の対訳とした、といった所でしょうか。
日本では、商社が多く採用しています。
なお、「Corp.」と略さず、「Corporation」とそのまま利用している会社も存在します。
株式会社の英語表記⑤:Co.
「Co.」は「Company」の略です。
「Co」は、①でも説明した通り、「法人」という意味であり、③とは逆に、①から「Ltd.」を抜いて前半部分だけにした形と言えます。
意味合いとしては、④と同じく「法人」という意味の日本語となります。
ただ、この英語表記を採用している日本企業を見かける事はほとんどありません(アメリカ企業では、この表記を採用している企業は存在します)。
なお、「Co.」を「法人」の意味ではなく、「仲間」という意味で社名に付けているケースがありますので、注意するようにして下さい(例えば、「Tiffany & Co.」は「ティファニー氏と仲間」といった意味のある会社名です)。
株式会社の英語表記⑤:K.K.
最後は「K.K.」ですが、これは「Kabushiki Kaisha(株式会社)」の略です。
英語でも何でもなく、日本の法人形態をローマ字にしただけですね。
日本の株式会社の制度に基づいて設立された会社であるという事を堂々と主張する、という意味では、最も王道と言えるかもしれません(海外の法人制度と日本の法人会社では違いがありますので、完全な訳語は無くて当然という考え方)。
ただし、この用語を初めて見た外国の人には絶対に理解出来ない略称ですので、そこがデメリットではあります。
また、会社の読み方は「かいしゃ」で良いとしても、株式会社の読み方は「かぶしき『が』いしゃ」だから「K.G.」ではないのか?と考える人もおり、その点も少し悩ましい所ではあります。
以上、様々な「株式会社」の英語表記をみてきましたが、どのような英語表記をするかは、それぞれの会社が自由に決める事になります。
なお、それぞれの会社が「自社の正式な英語表記(英語社名)を定めている場合がある」という事には気をつけるようにして下さい。
この場合、社内はもちろん、社外の人も、その英語表記に従うべきであり、勝手に違う英語表記を使うと、「その会社に失礼」という事にもなりかねません。
特に、日本語の社名と英語の社名では、「株式会社以外の部分の社名の表記」すら違う事もあります。
まず、「単語の並び順が違う」というケースがありまして、これは合併協議の時に2社の名前を一つにする必要があり、「日本語表記では○○に先頭を譲る代わりに、英語表記では○○が先頭を貰う」といった交渉の結果だったりします。
順番が違う有名な事例としては、株式会社三井住友銀行の英語表記が「Sumitomo Mitsui Banking Corporation」です(日本語社名では三井が先だが、英語社名では住友が先)。
また、最近では減りましたが、英語社名からは日本語社名が想像しづらいようなケースもあります。
有名企業の例としては、今は違いますが、以前、伊藤忠商事株式会社の英語表記は「C.Itoh & Co., Ltd.」でした。
取引先の英語社名を扱う際には、くれぐれも注意するようにして下さい。