ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

人が感じる幸福度は50歳前後が最低なのを知っていましたか?

年齢 幸福度

幸福度が低くなる年齢がある」という話を聞いたら、貴方は信じるでしょうか。

しかし、これは様々な調査から導かれた結論なのです。

ちなみに、その年齢ゾーンを過ぎれば、また、多くの人の幸福度が高くなる事も解っています。

ですから、もし、貴方が、今、その年齢ゾーンにいて、「自分は幸せではないな」と感じていたとすれば、もう少し我慢してみると良いかもしれません。

少なくとも、調査結果によれば、もう少し年齢を重ねれば、「自分は幸せだ」と感じる人が多くなる事は解っているのですから。


早速、「幸福度が低いと感じている人が多い年齢とは、どのくらいの年齢なのか」をご紹介しましょう。

最も幸福度が低いと感じる人が多い年齢は、ずばり、50歳前後です。

もっと若い人が感じている幸福度と比べると、50歳前後の人が感じている幸福度は低いのです。

そして、より年齢層が高い人と比べた場合であっても、50歳前後の人が感じている幸福度は低いのです。

すなわち、年齢と幸福度の関係をグラフに描くと、50歳前後で幸福度はもっとも低くなるカーブが描かれる事になるのです(U字カーブ)。


では、どのような調査において、そのような結論が導き出されているのでしょうか。

まず、デジタル庁のサイトで公開されている資料において、男女とも「40代が感じている幸福度が、他の年齢層よりも低い」という調査結果が出ています。

※「地域幸福度(Well-Being)指標 令和5年度全国調査結果(一般社団法人スマートシティ・インスティテュート)」より。
https://www.digital.go.jp/councils/digital-garden-city-nation-wellbeing/1eb514b0-5e04-4b40-9cac-e142439bad12


また、内閣府の資料においても、幸福度とは少し違いますが、生活満足度の調査結果において、40-64歳の生活満足度は、15-39歳や65-89歳と比べ、低いという結果が出ています。

そして、この調査は、毎年行われているのですが、この傾向は2019年以降変わっていません。

※内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」より。
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/index.html


では、このような結果が出ているのは日本だけなのでしょうか。

それを確認する為、海外の同様の調査も調べて見たところ、驚くべき事が判明しました。

何と、世界中の国々を対象とした調査でも、類似の結果が出ている事が解ったのです。

米ダートマス大学の教授で労働経済学者であるDavid G. Blanchflower(Danny Blanchflowerとも呼ばれる)氏によると、109の発展途上国を含む145カ国において調査した結果、「50歳前後の時期に(幸福度の)年齢的な最小値がある」との事です。

※Is happiness U-shaped everywhere? Age and subjective well-being in 145 countries(David G. Blanchflower)より。
https://link.springer.com/article/10.1007/s00148-020-00797-z


年齢と幸福度の関係をグラフにすると、日本と同様のカーブが、海外の調査結果でも描かれる事が解ったのです。

これは、非常に興味深い事であるように思います。


では、なぜ、50歳前後で幸福度が低くなる傾向があるのでしょうか。

有用な統計データまでは見つかりませんでしたが、様々な調査結果や意見などを調べた所、以下のような原因によって、50歳前後の幸福度は低くなっている可能性があるようです。


・若者の頃に考えていた将来像とのズレを認識

・失業や離婚などのイベント発生

・出費は多いが収入は増えない

・健康状態に問題が見つかる

・趣味(文化や芸術)との接し方が変わる


若者の頃は、将来に夢を持ちながら生活し、また、幸福を感じる様々なイベントがあったが、50歳前後になると、そのような環境が少し変わってくるのかもしれません。

そして、その時期を超えると、現状を踏まえて、自分(達)なりの生き方が見えてくるので、また、幸福度は上がっていくのかもしれません。


ですから、冒頭でも触れましたが、現在40歳~60歳くらいの方は、今、幸福を感じられなくなっていたとしても、それは貴方だけではない、という事を確認して頂ければ、と思います。

そして、同時に、この時期を過ぎれば、また、幸福と感じられる人の割合は増えていくので、自分もそうなれるかもしれない(現状より良くなる)、と希望を持って日々の生活をお送りになるのも良い日々の過ごし方であるように思います。

以上、今日は、興味深い年齢と幸福度の関係についての調査を見つけたので、それについて少し調べてみた結果を紹介させて頂きました。