ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

映画「search/#サーチ2」は情報セキュリティ教材として有用かも?

映画 search/#サーチ2 サーチ2 search2 Missing

今日は、「search/#サーチ2」という映画について。

この映画、情報セキュリティの教材として有用かも?と思ったので、少しだけお勧めさせて頂きます。


日頃から、様々な場面で、

「情報セキュリティに注意しないといけない」

「ITデバイスのプライバシー設定をしっかりとしないと、大変な事になる」

といった警告は良く受けます。

私自身、人に注意する事もあります。

しかし、IT音痴の人に、その重要性を実感して貰うのは容易な事ではありません。

そのような事を感じながら日々を過ごす中で、今回、ある映画の評判を聞きつけ、内容を確認した所、

この映画を見て貰うと、個人レベルでの情報セキュリティの重要性について、無理なく理解して貰えるかもしれない

と思ったので、その映画について、ここで簡単にご紹介させて頂きたいと思います。


その映画が、

search/#サーチ2(原題:Missing、2023年)

です。

この映画、「search/サーチ(原題:Searching、2018年)」という映画の実質的な続編です。

※シナリオの継続性はありませんので、前作を見ていない方も問題なく鑑賞する事ができます。


前作も、(少なくとも一部では)かなり評判の良い映画でした。

いわゆるアクション大作とか、そういう系の映画ではないのですが、構成が変わっており、

パソコンやスマホなど、ITデバイスの画面がスクリーン全面に映し出されている時間が、映画のかなりの割合になる

という、ちょっと変わった映画だったのです。

そして、本作も、その構成を引き継いでいます。

もしかすると、このように書くと、マニアックで面白くない映画のように感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、シナリオは良く出来ており、多くの方は、特にストレスなく観る事が出来ると思います。


では、なぜ、この映画を、情報セキュリティの面で注目する事にしたのか。

それは、この映画には、「善意の立場から、他の人の情報をこっそり確認する」という場面が多く出てくるからなのです。

言い替えると、必要に迫られ、「他の人のセキュリティを攻撃する」という場面が多いのです。

映画にのめり込んで鑑賞すれば、「自分が頑張ってハッキングしている」ような感覚すら味わえるかもしれません。

これが、明らかな犯罪行為(例えば、銀行強盗とか)の為のハッキングであれば、多くの人は「自分ごと」としては考えられない事でしょう。

しかし、今回の主人公は、「普通の、どこにでもいそうな若者(女性)」です(海外の映画ですので、日本人ではありません)。

そして、その彼女の視点でハッキング行為は描かれます。

この為、物語などで良くある「詳しそうな人が、パパっと専門的な技術で何かをやってしまう」という感じではなく、一般人が試行錯誤しながらIT機器を操作するところを、良くも悪くもじっくりと見る事になります(ただし、この主人公、かなりIT機器の操作はスムーズです)。

利用しているソフトやネットサービスも、一部、誤魔化されてはいますが、私達が日常的に使っているものと類似であると認識する事が出来ます。

ですから、かなり身近に感じる事が出来る状態で、セキュリティが侵害される(大事な個人情報が第三者によって盗み見られたり、権限が奪われたりする)所を目の当たりにする事になるのです。


あまり細かい事を書くとネタバレになるので避けますが、この映画では、

・他人のネットサービス(SNSなど)の乗っ取り

・他人の移動履歴の盗み見

・遠隔地での過去の行動の監視

・セキュリティカメラの覗き見

・他人が過去に買ったものの調査

などを行う所を見る事が出来ます。


そして、それが必要なストーリーとなっていますので、主人公視点で熱中して見ている時は、観客は「攻撃が成功してくれ」とすら思って見てしまうかもしれません。

しかし、映画を見終わった後、冷静に「自分が攻撃される側だったら」と考えてみて頂くと、ゾッとする気分を味わって頂ける可能性が高いと思うのです。

ですから、この映画、個人の情報セキュリティについてピンと来ない方に、情報セキュリティの重要性を理解して頂く為の教材として有用であるように思うのです。


惜しむらくは、この映画でメインで使われているパソコン端末がビジネスで良く使われるWindows環境ではなく、Mac環境であるという事。

この点が、日頃、Windowsしか使っていない人にとっては、少し違和感を覚えるポイントかもしれません。

しかし、スマホはiPhoneが中心ですし、「セキュリティが破られた場合に、どのような事が起きてしまうのか」という事をITに詳しくない人に実感して貰うという意味では、全く問題ないと思います。


なお、余談ですが、冒頭でもご紹介させて頂いた通り、この映画には、「ITデバイスの画面がスクリーンに映っている時間が非常に長い」という特徴があります。

この説明をお読みになって、「えらく不自然な構成になるのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実際に鑑賞してみると、ほとんどの方は、(シナリオの良さもあると思いますが)この点について、あまり違和感を感じないはずです。

私も、最初、その事を不思議に思いましたが、良く考えてみれば、それは当たり前の事であるように思い直しました。

なぜなら、実際の日常生活でも、私たちは、かなりの時間、スマホなどITデバイスを見ながら生活しているのですから。

もっと言えば、ITデバイスを通じて、世の中と繋がっている割合がかなり高いのですから。

この映画の鑑賞は、「ITデバイス上の画面を見ているだけでも、意外と日常感がある事に気付ける」という意味でも、なかなか良い機会になるかもしれません。


以上、映画「search/#サーチ2」を少し変わった視点から紹介させて頂きました。