ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

貴方の職種で人が余るのはいつ?職種別の人材需給のバランス予想

人材の需給(不足・余剰)

人材(労働者)の不足(や余剰)について論じられる事は多々あります。


しかし、実際に、

どのような職種で、何年頃から人が余るのか(または、足りなくなるのか)」

といった内容にまで落とし込んだ話を聞く事は稀です。


また、ご自身の職種について、

自分の職種では、いつ頃から人が余りそうか(または、足りなくなりそうか)

といった事について、ピンと来ている人も少ないように思います。


今回、かなり大ざっぱな分類とはなりますが、職種別に、「この年は、人が余る」「この年は、人が足りない」という推定をしたものを見つけたので、ご紹介させて頂こうと思います。

日本の人材の余剰・不足について

日本の人材の不足・余剰については、様々な意見があります。


日本の人材の不足を懸念する人は、

「日本は高齢化が進み、労働者人口が減少しているので、人材が足りない」

と言います。


逆に、人材が不足するという立場の人は、

「AIなどのテクノロジーの発達によって、労働者は余る」

という人もいます。


恐らく、どちらも正しく、

「高度なスキルを持った人材は不足し、そうでない人は余る」

というのが正解なのでしょう。


問題は、「いつ」「どの職種の」人材が不足し、また、余るか、という事です。

それが解らないと、企業としては、具体的な行動に落とし込む事が出来ません。

そこで調べてみた所、三菱総合研究所さんが、職種別・年別に人材の不足・余剰を推定しているものを見つける事が出来ました。


早速、ご紹介しましょう。

皆さまも、ご自身の職種を探しながら読んで頂ければと思います。


この推定では、職種を以下の5つのグループに分類して推定しています。

①事務

②生産・輸送・建築

③販売・サービス

④管理

⑤専門技術

ただし、推定期間の終了は2030年です。その後の人材の不足・余剰については、この推定からは情報が得られません。


以下では、それぞれの職種グループごとの人材の余剰・不足が発生する時期について、推定内容をご紹介させて頂き、また、コメントしていきます。

※出典:株式会社三菱総合研究所 政策・経済研究センター「内外経済の中長期展望 2018-2030年度」より。オリジナルの資料を確認されたい方は、こちらから資料を確認して頂く事が可能です。なお、この推定はコロナ前に行われたものだそうです。https://www.mri.co.jp/news/press/20180709-01.html

職種別の余剰・不足:①事務

「事務」に属する職種については、2022年に早くも余剰になると推定されており、その後も数年間は余剰の規模が拡大する見込みとなっています。

2030年の時点では、120万人が過剰になると推定されています。

職種別の余剰・不足:②生産・輸送・建築

「生産・輸送・建築」に属する職種については、当面、不足の状態が続きます。

ただし、今後、不足の規模は縮小傾向にあり、2028年頃からは余剰に転じると推定されています。

そして、2030年の時点では、90万人が過剰になると推定されています。

職種別の余剰・不足:③販売・サービス

「販売・サービス」に属する職種についても、当面、不足の状態が続きます。

ただし、2029年頃からは余剰に転じると推定されています。

もっとも、2030年時点でも、余剰の規模は、そこまで大きなものにならない、と推定されています。

職種別の余剰・不足:④管理

「管理」に属する職種については、現在、不足の状態となっています。

そして、今後も、その不足の状態が続きます。

ただし、他の職種と比べると、不足の規模は大きくありません。若干不足する状態が継続する、という推定結果となっています。

職種別の余剰・不足:⑤専門技術

「専門技術」に属する職種については、現在も不足の状態となっており、今後、更に不足の規模は拡大していきます。

そして、2030年の時点では、170万人が不足すると推定されています。

職種別の余剰・不足の推定を受けて

以上が、日本の職種別の人材の不足・余剰に関する推定となります。


もちろん、このデータは様々な前提・仮定のもとで推定されたものです。

実際の余剰・不足が、このデータと大きく異なる結果になる可能性は十分にあるでしょう。

そもそも、三菱総合研究所さん自身、このデータをもとに、人材の余剰・不足がなくなるような対策を講じる事を提言されています。

しかし、まずは、このようなデータのたたき台がある事は非常に大切です。

企業内で人材の採用や活用に携わっている方には、採用や人材の配置、リスキリングに関する施策の参考にして頂ければと思います。

また、個人の立場で今後のキャリアを考える上でも、「自分の職種は、今後、人余りがいつ発生しそうか」という事を参考にして頂ければ、と思います。

「どうせ、結果が変わるのだから、推定には意味がない」と考えるのではなく、一旦、そのような予想がある事を前提に動き出し、世の中の動きを見ながら、行動(対策)を修正していった方が、より適切な行動が出来る可能性は高いでしょう。

 

さて、このエントリで、本年の投稿は終わりとなります。

皆さま、良いお年を。