ここ数年、外貨建て保険を勧める金融業者が多いように思います。
その理由も解ってはいるのですが、それらの事情については、本稿では触れません。
それよりも、「外貨建て保険を購入した人のうち、利益を出している人の割合」の数字(最新)が衝撃的だったので、それを紹介させて頂こうと思います(もちろん、逆に言えば、「外貨建て保険を購入した人のうち、現在、損になっている人の割合」という事でもあります)。
外貨建て保険の各時点での利益を出している人の割合については、金融庁がまとめてくれており、ここで公開させて頂くのは、その数字の2023年3月末基準のものです。
早速、数字をご紹介しましょう。
まず、2023年3月末時点で運用損益がプラスとなっている顧客の割合は44.9%です。
※数字は金融事業者127による単純平均。金融庁への報告があった数字を集計したもの。
※金融庁「外貨建保険の共通KPI」より。
https://www.fsa.go.jp/news/r5/kokyakuhoni/202402/fd_202402.html
この数字をみて、皆さまは、どのようにお感じでしょうか。
外貨建て保険だし、リスクがあるのは当然。
保険なんだし、運用損益がマイナスなのは仕方ないんじゃない?
などとお感じになる方ばかりであれば、関係者も胸をなで下ろす事でしょう。
個人的には、昨今の為替レートの推移を前提とすると、「もう少し高い比率になっているのではないか?」と予想していましたので、衝撃的でした(もっと為替レートが加入者に不利に推移していたら、どうなっていた事やら…)。
そして、更に衝撃的な数字が。
この金融庁の資料では、金融機関毎の運用損益率0%以上の顧客比率(以下、「勝率」)も発表してくれています。
要するに、その金融機関で外貨建て保険に入った顧客のうち、何%の顧客が運用損益がプラスになっているのか?という割合ですね。
その結果、最も酷い金融機関の勝率は、なんと0%。
全ての顧客の運用損益がマイナスです…
いやはや。
ちなみに、この金融機関だけが酷いという訳ではなく、他にも、勝率が10%台や20%台の金融機関は複数存在します。
現時点でマイナスである事が必ずしも問題とは言いませんが、さすがに、少し数字が極端な気はします。
※それぞれに事情があるかもしれませんし、勝率が50%を割っている金融機関自体が少なくない事もあり、具体的な金融機関の名前は伏せさせて頂きます。
ちなみに、このようなデータをお伝えすると、「外貨建て保険はダメだ」という印象を読者に強く与えてしまうかもしれませんので、念のため、勝率の良い金融機関についての数字もご紹介させて頂きます。
例えば、最も良い結果となっている金融機関の勝率は98.5%です。
この金融機関が少し特別だったとしても、2番手は83.1%。3番手は82.7%。他にも70%台の金融機関は複数存在します。
ですから、「外貨建て保険を買うと必ず損をする」などという誤解だけは、くれぐれもなさらないようにお願いします。
もっとも、私個人としては、外貨建て保険の多くは、かなり限られた方にだけお勧めできるような商品だと考えています。
皆さまが外貨建て保険を検討される際には、検討中の商品について十分に理解され、また、ご自身に合っているかどうかの判断をされた上で契約される事をお勧めします。
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