ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

服には何割の利益を乗せて売るのが正しい?【頭の体操】

洋服屋で値付けを検討


今日は、売り手の側から見た、洋服の値段(値付け)についての小話を。

皆さまは、1着あたり、お店はどの位の利益を取るべきだと思いますか?

今日は、そんなお話です。

もしかすると、服の値段について、明日から少し見え方が変わるかもしれません。

経営に関心のある方は、この話に出てくる3人の店主が経営するお店が、それぞれ、どんなお店か想像しながら読んで頂くと面白いと思います。


先日、あるところで、洋服を販売している店を経営する3人の店主と一度にお会いする機会がありました。

大きなメーカー直営の店ではなく、昔ながらの、「街の洋服屋」の店主です。

洋服を作っている会社から仕入れ、それを店舗に並べ(または、売りに行き)、一般のお客様に販売する商売をしているお店です。

ただし、この3店、同業ではあるものの、日頃は顔を合わせる関係ではありません。それは、扱っている商品が結構違っており、店を構えている場所も全く違う所である為でした。

これ以上の、それぞれのお店についての情報は省かせて頂きます。それを想像しながら読んで頂いた方が面白いと思いますので。


その場所で、同業者ならではの会話が始まりました。

他の店舗の商品を見て、値付けの話が始まったのです。

A店の店主「この商品なら、何割乗せて売れると思います?」

B店の店主「さぁ。考えた事もないよ。うちは、仕入先が付けた値段通りに売るから。」

A店の店主「でも、客に言われて、値引とかはするでしょ?それで、最低、どの位の利益は絶対に残すのかっていう事で良いですよ。」

B店の店主「え?セールになるまでは、うちは値引きはした事ないよ。A店さんは違うの?」

A店の店主「うちは値段、自分達で決めてますけど。そういうものだと思ってました。良く解りませんが、決められた通りの値段で売れるなんて、B店さんの商売は楽で良いですね。」

B店の店主「いや、だから大変なんですよ。そんなに簡単に売れないですよ。でも、仕入れる時に、どのお客さんに売るか、だいたい想定して仕入れてますから、何とか。」

C店の店主「うちは、自分で値段付けてます。この商品だったら、5割は乗せたいかな。」

A店の店主「え?そんなに利益取るんですか?」

C店の店主「え?それ位は取らないと、やっていけないですよ。この商品はサイズの問題もあるので、仕入れた分が全部売れるとは限りませんし。」

A店の店主「うちは、値段は変えますけど、最後は全部売れる予定にしてるので、全然、乗せる割合違います。店によって、全然、違うものなんですね。勉強になりました。」


3人の店主の会話は、これで終わりです。

皆さま、この3店、それぞれ、どんな商売をしているお店なのか、想像出来ましたでしょうか。

答え合わせはしませんが、同じように「服を売る」という商売をしていても、これだけ差があるのです。

面白いですね。そして、だからこそ、商売を成功させるのは、一筋縄ではいかない、とも言えるでしょうか。

経営に携わっている方であれば、ご自身の商売に置き換えて考えてみて頂けると、自分の商売の違った可能性が見つかるかもしれません。


(おまけ)
難しすぎるという声があったので、追記。
ヒント。仕入は国内からの仕入だけとは限りません。

ただ、全員が国内から仕入しているとしても、辻褄があう説明は出来るようにも思います。