ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

コーヒーバッジングとは?在宅勤務を終了させたい会社に対抗!

コーヒーバッジング coffee badging


コロナ渦で普及した在宅勤務ですが、その後、オフィスに出社するように従業員に指示する会社(経営者)は増えています。

しかし、海外(特に米国)では、在宅勤務のありがたみを知った従業員が「オフィスに戻りたくない!」と主張するケースが増えています。

そのような中で、今、注目されているのが、「コーヒーバッジング(coffee badging)」と呼ばれるトレンドです。

これは、従業員側のささやかな?反逆といっても良いかもしれません。

今日は、この、コーヒーバッジングを紹介します。


オフィスに出社するように指示された従業員は、仕方がないので、オフィスに出社します。

しかし、オフィスよりも自宅で作業を続けたいのが本音の従業員は、オフィスに長居しようとは思いません。

出来る限り短い時間、オフィスにいて、「ちゃんと、オフィスにいましたよ」という事を会社側に認識させた後には、早々に家に帰ってしまうのです。

コーヒーバッジングという用語の「コーヒー」とは、この「オフィスにいる短い時間」を「コーヒーを飲むくらいの時間」と考えたものです(本当にオフィスでコーヒーを飲むだけで帰るという従業員もいる事でしょう)。

そして、英語圏では、社員証の事をバッジ(badge)といい、このバッジを勤怠管理のシステムに通して記録を残す事をバッジング(badging)といいます。

この為、コーヒー(coffee)とバッジング(badging)を組み合わせてコーヒーバッジング(coffee badging)という用語が作られた訳です。

「社員証をシステムにかざして出社の記録は残し、コーヒーを飲む時間くらいだけオフィスにいて、その後は帰ってしまう」といったイメージでしょうかね。

従来型の日本企業であれば、出社記録はタイムレコーダーにタイムカードを通してスタンプを押すイメージでしょうかから「コーヒースタンピング」となるのかもしれませんね(もしくは、お茶という事で、ティースタンピングでしょうか?)

もっとも、海外でこのような動きが相次いでいるのは、海外では、仕事が結果で評価されるのが当たり前だからかもしれません。


では、経営者は、このコーヒーバッジングというトレンドに対して、どのように対処すべきなのでしょうか。

まず、従業員が、なぜ、コーヒーバッジングをしたいのか、という理由に注目する必要があるのでしょう。

海外の調査結果では、「ワークライフバランスの改善が目的でコーヒーバッジングをしている従業員が多い」という結果が出ているようです。

また、時間的な負担のほかにも、「出社すると、在宅勤務よりも個人負担の費用が多くかかる(昼食代や自宅を留守にする事による子供やペットのケア費用など)」といった理由もコーヒーバッジングをする理由になっているようです。

ですから、従業員にコーヒーバッジングを止めて欲しいのであれば、経営者側としては、このような「従業員がコーヒーバッジングをしたい理由」に対応する必要があるのかもしれません。

また、オフィスに出社するメリットを従業員に感じて貰う為の努力も必要となるのでしょう。

例えば、経営者が従業員にオフィスへの出社を要請する理由の一つは、「従業員同士のコラボレーションの水準が出社によって上がる」という事だと言われています。

であれば、そのような重要性について、従業員により丁寧に説明する必要があるのでしょう。

そして、出社によって、そのようなメリットが実現される事により、「従業員にメリットがある(例えば、結果として評価が上がり、給与が上がるなど)」という環境を用意する必要もあるのでしょう。

一度、在宅勤務の良さを知ってしまった従業員にコーヒーバッジングを止めて貰うには、このような対応は欠かせないように思われます。


ちなみに、海外(米国)のあるデータでは、フルタイムでオフィスにいたいという労働者の割合は、たった22%だそうです。

そして、37%がハイブリッド(組み合わせ)での働き方を希望し、41%が完全なリモートワークを希望している、との事です。

そして、ハイブリッドワーカーの半数以上が、このコーヒーバッジングをしている、という調査結果も出ているようです。

※Owl Labs社の2023年ハイブリッドワークに関する報告書より。
https://owllabs.com/state-of-hybrid-work/2023


ですから、このコーヒーバッジングは決して小さなトレンドではないのです。

日本においても、知っておいて損はないトレンドといえるでしょう。