今日は、「すみっコぐらしというキャラクター映画のヒットからみる、日本における大きなニーズの存在」について。
いつもとは趣向を変えてお届けします。
映画「すみっコぐらし」
皆さま、「すみっコぐらし」というキャラクター商品や映画をご存じでしょうか。
こういうものは、子供向けというイメージがあったのですが、「すみっコぐらしの映画が、大人向けにヒットしている」という情報を得て、当社でも(一部スタッフで)、
映画「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」
を視察してきました(とはいっても、普通に映画館に見に行っただけですが)。
※当社では、経営の参考になるヒット商品やトレンド企画については、ジャンルを問わず、勉強しに行っています。
そして、子供向け(だと思っていた)映画を鑑賞した結論ですが、
「ここまで、キャラクター商品を企画しているメーカーが、本気でマーケティングしているとは思わなかった。」
というのが感想です。
実は、一番遅い回に鑑賞した事もあって、映画が始まる前から、「噂通り、大人が多い」とは思っていたのですが、終わって、納得しました。
当社スタッフと同じように、評判を聞いて観にきた大人も多いのでしょうし、もしかすると、何度も見に来ているヘビーユーザーもいるのかもしれません。
誤解して頂きたくないのですが、これまでも、こうした業界の企画力を侮っていた訳ではないのです。
日本が誇るクリエーター集団だとは思っていました。
しかし、「こういうマーケットの攻め方もあるのか」という意味で感服させられてしまいました。
「すみっコぐらし」とは
そもそも、すみっコぐらしとはなにか?
簡単に、今回の映画の主人公達でもあるキャラクターについて紹介しておきましょう。
・とんかつ(豚カツ):とんかつ(豚カツ)のはじっこ。
・えびふらいのしっぽ(海老フライの尻尾):かたいから食べ残された。
・たぴおか(タピオカ):ミルクティーだけ先にのまれて吸いにくいから残されてしまった。
・ざっそう(雑草):いつかあこがれのお花屋さんでブーケにしてもらう!という夢を持つポジティブな草。
・ぺんぎん(ペンギン):自分はぺんぎん?自信がない。自分さがし中。
※()内は著者が追記、内容は映画版webpageより一部引用。
※本当は画像を載せたいのですが、著作権に配慮して、このブログでは文字だけとさせて頂きます。
など。
これらが、映画すみっコぐらしの出演者(出演キャラクターというべきか?)です。
(ちなみに、すみっこぐらし、ではなく、すみっ「コ」ぐらし、だそうです)
「すみっコぐらし」の狙い
どれも、普通のアニメ作品であれば(子供向けであったとしても)主人公にはなりそうもないキャラクター達です。
私も、見るまでは、「また、訳の分からないものを、可愛く企画したものだな」と思っていました。
いわゆる、「ゆるキャラ」に近いものだと思っていたのです。
しかし、このキャラクター設定、本当に良く考えられて(マーケティングされて)いたのですね。
映画で、各キャラの紹介が始まると、それだけで映画館の中で笑いが出るほどでした(それだけ、すみっコぐらしのキャラクターに初めて触れた観客が多かったのでしょう)。
そして、映画の大半は、失礼ながら、そこまでの内容ではないのですが(ですから、大人が見に行く場合に、全編、ワクワクさせられるという期待はしない方が良いでしょう)、基本コンセプトはしっかりと貫かれています。
その基本コンセプトは、
「世の中における、自分自身の存在感・存在意義」
といったもの。
この辺りの観客のニーズ(という言葉が適切かどうかは、今回は怪しいですが)を狙ってきています。
「すみっコぐらし」がヒットした理由
「すみっコぐらし」という名前からも、その辺りを狙っている事は明らかです。
あまり詳しく書くと、映画のネタばれにもなりますので止めておきますが、多くの日本人が、「実は」、そして、「かなり深く」思っている、
・自分の存在意義は、どこにあるのだろうか
・自分は、(実は)この世界で一人っきりなのではないだろうか
といった、誰にも言えないような「悩み」や「不安」を、可愛いキャラクターを使う事で突いてきます。
そして、同時に、
・小さくても、誰かを支える事で存在意義を見つける喜び(自己犠牲の精神を含む)
や
・いつもは違う(遠い)世界にいる間柄であっても、小さな共通項を見つける事で仲間になれる可能性
といったものも表現されています。
ですから、こういった要素が「刺さる」観客にとっては、グサグサときてしまう。
すなわち、「ヒットするべくして、ヒットした映画」とすら言えるのではないでしょうか。
優れた表現手段としての「すみっコぐらし」
こうした要素は、ソーシャルメディア・SNSのヒットとも共通する部分があると言えるでしょう。
しかし、本来は扱うのが難しい、こうした要素を、可愛いキャラクター達を活用することで、うまくテーマとして扱っています。これは、日本にしか出来ない表現方法かもしれません。
キャラクタービジネス恐るべし。
・ソーシャルメディアから、なぜか離れられない人
・ソーシャルメディアが流行っている理由が解るようで解らない人
・ユーザーニーズの深い所を狙っているはずなのに、うまくあたらなくて困っている人
そういった人は、この映画、一見の価値があるように思います。きっと、何か、掴めるものがあるでしょう。
ただ、あくまで、大きな期待をせず、子供向けの作品だと「割り切って」観に行く事をお勧めします。
キャラクタービジネスに、はまっていない「大人」は、そのくらいの気分で観に行くと、制作者側の狙いに、ちょうど、うまくはまると思います。
以上、今回は、いつもと趣向を変えて、日本のキャラクタービジネスについてお届けしました。
そして、最後に一言。
当社も、肝心な時に、大事なものをしっかりと支える、「○○○」や「○」たちのように、今後も尽力していきたいと思います。
※ネタばれ防止の為、伏せ字。