皆さまは、ラジオ体操の歴史をご存じでしょうか。
また、「ラジオ体操はかんぽ生命と深い関係があり、かんぽ生命の再興にラジオ体操が大きな役割を果たすかもしれない」と聞かれたら、どのような感想をお持ちになるでしょうか。
今日は、そのようなテーマのお話です。
先日、
「ラジオ体操をすると保険料が安くなる(割引される)保険」
という商品の話を聞きました。
まだ開発中の商品なのだそうですが、なかなか面白いですよね。
「割引額」や「実際にラジオ体操をやっているかをどうやって把握するのか?」といった辺りが気になりますが、「それくらいの運動なら、保険料を抑える為にやってみようかな?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、その保険を発売する予定にしているのは、「かんぽ生命」なのだそうです。
それを聞いて、「なかなか良い所に目を付けたな」と思いました。
実は、「ラジオ体操」と「かんぽ生命」には歴史的に深い関係があるのです。
また、「ラジオ体操」が生まれた背景には、単に「健康改善を目指す」というだけでは終わらない企業の思惑が絡んでいるのです。
ですから、色々と深く考えてしまいました。
多くの方はラジオ体操を経験された事があると思いますが、ラジオ体操の歴史についてご存じの方は少ないのではないでしょうか。
そこで、まず、ラジオ体操についての歴史と豆知識をご紹介させて頂きます。
・ラジオ体操は、逓信省簡易保険局という国の機関(現在のかんぽ生命であると言えるでしょう)が中心となって1927年(昭和2年)に提案され、1928年(昭和3年)に制定されました。
・ラジオ体操という番組のアイデアは、「Setting up exercise」というアメリカのメトロポリタン生命保険(現、メットライフ生命保険)の広告放送から来ています。
・ラジオ体操は、昭和天皇即位を祝う事業として提案されました。
・ラジオ体操は、「国民保健体操」として発表されました。
・ラジオ体操には、第一の他に、第二、第三が存在します。更に、最新版とも言える「みんなの体操」という体操も存在します(1999年に制定)。
・「財団法人 簡易保険加入者協会(現、一般財団法人 簡易保険加入者協会)」という、ラジオ体操の普及を目指す事を主な事業目的の一つにしている団体が存在します。
この中で、特に注目して頂きたいのは、「ラジオ体操とは、元々、アメリカの保険会社が、『広告の為に考案し、始めたものである』」というポイントです。
当時、アメリカで生命保険のイメージは良いものではなかったそうです。
より具体的に申し上げますと、当時の生命保険は「死の換金」などと呼ばれ、イメージがかなり悪かったのだそうです。
ラジオ体操は、このイメージを改善する為に考え出されたものなのだそうです。
さて、ここで、冒頭で紹介した「ラジオ体操をすると保険料が安くなる保険(健康増進型保険の一種)」を開発・発売しようとしている「かんぽ生命」について考えてみましょう。
ご存じの方も多いと思いますが、かんぽ生命は不祥事(保険の不正販売問題)だらけで、かなりイメージは傷ついてしまっています。
もうお解りですね。
ラジオ体操には、
・かんぽ生命にとって、歴史的に関係が深い。
・アメリカでは、元々、生命保険のイメージ改善の為に開発されたものである。
といった特色があります。
ですから、かんぽ生命が、そのようなものを活用していこうとしているのをを聞いて、なかなか面白い所に目を付けたな、と思った訳です。
恐らく、「事業拡大の為に、自分達が持っている資産を生かす」という事と、「自分達のイメージ改善に繋げる」という、両方の事を狙っているのでしょう。
ちなみに、アメリカの事例では、このラジオ体操を広めた事で、実際にイメージが良くなったそうです。
その成功事例に、かんぽ生命はあやかる事が出来るのかどうか。
もっとも、その前に、かんぽ生命には社内を見直して頂き、不祥事が本当に再発しないようにして頂きたいと思いますが。
どれだけラジオ体操の活用を頑張っても、今後発生する不祥事で悪化する企業の健康状態までは改善できないでしょうから。