前回に引き続き、大塚家具の騒動を取り上げます。
前回は、「なぜ、大塚家具の騒動は、あれほど日本の経営者の注目を集めたのか」という点を取り上げました。
今日は、「あの大塚家具の騒動から、日本の経営者は何を学ぶべきなのか」という点について取り上げます。
実は、あの騒動は、どの会社にとっても身近なものなのです。そして、今から準備しておかないと、貴方の会社も大変なことになるかもしれません。
なお、大塚家具の騒動の概略を確認したい方は、まず、前回のブログをお読み頂ければ幸いです。
- 大塚家具の騒動についての様々な意見
- 大塚家具の騒動から、私達が考えるべき事
- 大塚家具のような騒動が自社で発生したら
- 大塚家具のような騒動に対して準備しておかないと何が起きるか
- 今から騒動に対して準備しておかなければならない理由
- 大塚家具の騒動を自社の教訓にする
大塚家具の騒動についての様々な意見
さて、当時、あの大塚家具の騒動については、様々な意見が経営者からも出ました。
「これまで成功してきた勝久氏の方針を変えるなんて、どうかしている」
「久美子氏の言っている事の方が正しい気がする」
「子が親に逆らうなんて、とんでもない」
「いい年なんだから、勝久氏も引退すれば良いのに」
※勝久氏:父親、大塚家具創業者、騒動の当時は社長
※久美子氏:娘、騒動において父親に勝利して社長になる(正確には復帰)
これらは、実際に、他の方からお聞きした感想ですが、こうした感想の是非については、ここでは扱いません。
大塚家具の騒動から、私達が考えるべき事
ここで考えてみたい(皆様にも考えてみて頂きたい)のは、
「今の事業モデルを壊す提案が社内から出てきた場合、どう対応すべきなのか」
という事です。
勿論、具体的な対応方針は、そのケースごとに異なるでしょう。
ですから、一律の答えを出すことなど、出来るはずがありません。
しかし、今回の大塚家具の騒動は、
「次の世代(子供に限らない)から、会社の方針を変える提案が出てきた場合に、どう対応すべきなのか?」
という事を、自社に当てはめて考えてみる「良い機会」に出来るはずだと思うのです。
大塚家具のような騒動が自社で発生したら
想像してみて下さい。
貴方は経営者だったとします。
いま、自社の中堅や若手、特に、次の経営を担うと期待している社員から、
「今の事業を急激に変革すべきだ」
「貴方(経営者)は退くべきだ」
といった声があがったとしましょう。
そして、貴方は、「その提案をした部下は間違っている」と思った、としましょう。
そうした場合、貴方は(貴社は)うまく対応出来ますか?
大塚家具のような騒動に対して準備しておかないと何が起きるか
もちろん、出てきた意見を切り捨てる事は容易でしょう。
しかし、その場合、自社を変革する機会を失うかもしれません。それだけではなく、声をあげた人材や、それを見ていた周囲の人材に失望され、最終的には、自社の貴重な人材を失う事になるかもしれません。
とは言っても、その者の提案を受け入れれば、自分が会社を去る事になるかもしれません。
いや、それだけなら良いとしても、その提案を採用した事によって会社が潰れた場合、自分を慕ってくれている社員達を路頭に迷わせ、恨まれる事になるかもしれません。
貴方ならどうしますか?
しかし、これは、実際に、大塚家具で起きた事なのです。
そして、貴方の会社で起きないとは限らない訳です。
今から騒動に対して準備しておかなければならない理由
良く雑談レベルでは、「私は若者の意見を尊重する」と仰る経営者の方はいらっしゃいます。
しかし、それが本当に実行出来るのは、かなり条件が整ったケースに限定されるのではないでしょうか。
経営者の側からすれば、「若者の意見を尊重する」とは言ったものの、「最低限の前提(条件)はある」というのが本音でしょう。
しかし、若者側と、そうした感覚がわかり合えるとは限りません。
そして、そうした食い違いが表面化した場合、
「『若者の意見を尊重する』と日頃から経営者は言っていたくせに、実際に、若者が声をあげると、聞く耳を持たない」
という反応を受ける事になります。
大塚家具の騒動を自社の教訓にする
こうしたケースにおいて、「経営者と若者と、どちらが正しいか」という事は、ここでは、一端、置いておきましょう(そもそも、一律に検討出来るものでもありません)。
しかし、こうした事態が発生した場合、「かなり難しい判断を迫られる」という事だけは、想像して頂けたのではないでしょうか。
だからこそ、今回の大塚家具の一件は、自社について考える良い機会にすべきだと思うのです。
改めて、経営者の方にお伺いします。
大塚家具と同じような事が自社で起きた場合、それでも、「若者の意見を尊重する」と言えますか?
それとも、「自社は、若者の意見など重要視しない」会社だと認めますか?
どちらでもないのであれば、「そういった事態をどう扱うか、準備は出来ている」と自信を持って言えますか?
または、「そういった事態を、うまく扱う自信がある」と言えますか?
経営者の方には、ぜひ、この機会に少しだけでも考えてみて頂きたいと思います。
なお、一般従業員の立場でも、この視点は、自分が働いている会社の経営陣の姿勢を分析する上で有益かもしれません。