今日は、ある職場で目にした、「メールの宛先を入れる時の『当たり前』」についての、ちょっとした小話を。
ある会社では当たり前のことが、他の会社では驚かれる、という事は少なくありません。
もしかすると、貴方の会社の「当たり前」は、他の会社では「当たり前じゃない」かもしれません。
ある時、外資企業と日本企業2社が一緒のチームを組んで仕事をしている現場に居合わせました。
3社の実務担当者が集まって行った合同会議が終わった後、各社の担当者は、同じ会議室内で、メールを書き始めました。
それぞれの社内の関係者に報告と承認を得る為のメール作成を、そこで済ませてしまう事になったのです。
それほど複雑な内容ではなかった事もあり、各社の担当者は、素早くメールを書き終えました。
そして、全社が書き終えた事を確認した後、お互いで内容の確認の為に、簡単なやり取りがありました。
そして、各社、書きかけのメールに宛先(toやcc)を入れて送信して解散、となる…はずでした。
その後、何が起きたか。
外資企業(仮にA社とします)と日本企業の1社(仮にB社とします)は、手際よくメール送信を終え、もう一社の日本企業(仮にC社とします)の担当者のメール送信が終わるのを待っていました。
しかし、このC社のメール送信がなかなか終わりません。
そして、終わらないどころか、この段階にきて、社内資料を持ち出したり、同じC社内でコソコソと打ち合わせを始めたりしています。
C社の担当者が時間がかかっていた理由、皆さまはお解りになりますか?
しびれを切らして、B社の担当者がC社に「なぜ、打ち終わっているメールを送信するのに、そんなに時間がかかっているのか?」と少しイライラしながら尋ねました。
すると、C社の担当者は、申し訳なさそうに、こう答えたのです。
「メールの宛先のうち、どちらを先に並べるべきか決まらない相手がいるのです」
詳しく聞いてみると、メールのtoの所に入れるメールアドレスの順番が社内で「階級が上の人から並べる」と決まっているのだそうです。
しかし、どちらが上か判断に苦しむ送信相手が混じっており、担当者同士で検討していて、時間がかかっていたのだそうです。
皆さまは、
「あ~なるほど」
と思われましたか?
それとも、
「意味が解らない」
と思われましたか?
実際の、この時の現場では、なかなか面白い反応が起きました。
まず、同じ日本企業のB社の担当者は、
「あ~そうなんですね。C社さんは大変ですね…」
と、少し同情のような対応。
そして、外資系のA社の担当者は、絶句していました。
面白いので、A社の担当者に話を聞いてみたら、そんな事は考えた事もないし、社内で、そんな事の為に時間を使っているのがバレたら、怒られるだけでは済まないだろう、と言っていました。
そして、この事をC社の担当者に伝えた所、逆に、C社では、順番が間違っていた事がバレたら、大変なことになると言っていました。
メールの宛先を入れるだけでも、これだけの差。面白いですよね。
ちなみに、メールの宛先の順番ですが、C社が「偉い人順」である事は、既にご理解頂いていると思いますが、では、他の会社がどうなのか聞いてみたところ…
B社では、
「適当」
「考えた事もなかった」
という回答でした。
そして、外資系のA社では、
「名前のアルファベット順」
だそうでした。
他の日本企業の担当者が、
「さすが外資系、合理的」
と、納得したような、唸ったような、微妙な顔をしていたのが忘れられません。