ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

「Go To トラベル」を見直す時に「Go To Eat」を分析する必要性?

GoToトラベルのキャンセルとGoToEatクーポン(食事券)の関係

コロナの感染者拡大を受け、「Go To トラベル」の見直しが検討されているようです。

しかし、

「Go To トラベル」を見直して旅行者を減らす際に、「Go To Eatクーポン(食事券)」の購入状況についても分析しておくべきである

という事については、あまり意識されていないようです。

実は、「旅行者を減らす」という目的の為には、両方を結びつけて考えないと、十分な結果が出ない可能性があるのです。


「Go To トラベル」と「Go To Eat」は別ものだから、関連させて分析する必要はないはずでは?と思われた方。ぜひ、続きをお読み下さい。

※この記事は「Go To トラベル」の具体的な見直しが固まる前に書かれました。その為、一部、違和感を感じられる箇所があるかもしれませんが、ご了解下さい。


「Go To トラベル」の中身については、皆さま良くご存じだと思いますので、説明は省きます。

うまく使うと、かなり「お得」に旅行をする事が出来ます。

この制度のおかげで、かなり潤っている(客が戻ってきた)地域もあると聞きます。

しかし、残念ながら、新型コロナの感染者が、増加してきており、「Go To トラベル」の見直しが検討されています。

具体的には、感染が拡大している地域への「Go To トラベル」の適用中止が検討されているようです。

そして、旅行をキャンセルした場合のキャンセル費用についても、「国が負担する」という事が検討されているようです。

しかし、「Go To Eatクーポン(食事券)」については、その販売の中止を検討している自治体こそあるようですが、その「キャンセル費用」については、誰も気にしているようには見えません。

もちろん、「Go To Eat」のキャンセル費用が問題とならないのは、

「既に販売された『Go To Eat』のクーポンは、従来通り使える。また、期間も2021年3月までと長い。だから、『Go To トラベル』とは別ものとして考えて問題ない。」

といった理屈であると予想されます。


しかし、前述の通り、旅行者を減らす為に「Go To トラベル」の制度を見直すのであれば、「Go To Eat」のキャンセル料についても、検討するべきかもしれないのです。

なぜならば、「Go To Eat」のプレミアムのついたクーポンは、販売されている地域の住民以外でも買えます。

この為、「Go To トラベル」で旅行に行く予定を立てていた人が、その旅行先の「Go To Eat」のクーポンを購入済であった可能性があるのです。

「Go To トラベル」で旅行に行って、さらに、「Go To Eat」のクーポン券でお得に食事を楽しもう!という訳ですね。

そして、「Go To Eat」のクーポンは、転売禁止であるケースが多いのです。

※全ての都道府県の運用を確認した訳ではありませんが、「転売は禁止」と明確に書いている「Go To Eat」のクーポン案内サイトもあります。


結果、何が起きるか。


もうお解りだと思いますが、

「Go To トラベル」のキャンセル料は無料になっても、現地で使おうと思って既に買っていた「Go To Eat」のクーポン(食事券)がある。それを無駄にしたくないから、予定通り旅行に行こう。

という人がいる可能性があるのです。


もちろん、「Go To トラベル」で旅行を予定していた人のうち、何%が「Go To Eat」のクーポンを購入済なのかは、データがないので解りません。

しかし、もともと、「Go To トラベル」を積極的に活用する事を考えていた層は、「お得情報」に敏感な層が多く含まれている事が想定されます。

であれば、「Go To Eat」を組み合わせる事を考えた人も一定数は存在していると考えるべきだと思われます。


このような、「一見、関係なさそうな2つの事柄が、実は裏で繋がっており、その関係を把握しないと、施策の目的が達成されない」といった状態は、実際の経営でも良く見受けられます。

実は、この「Go To トラベル」と「Go To Eat」の関係については、最近、そのような話をさせて頂く際に、「例」として使っておりました。

そして、「面白い」という反応を頂く事が多かったので、「読者の皆さまにも面白く読んで頂けるかな?」と思い、ここで取り上げてみる事にした次第です。