ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

ゲームに夢中なのは教育に良い、という親の意見をどう扱うべきか

ゲームと医師と教育


突然ですが、ある人から「自分の子供がゲームに夢中になっているのが誇らしい」という意見を持つ親の話を聞きました。

プロのゲーマー(ゲームでお金を稼ぐ人)にでも育てるつもりなのかと思ったら、医者に育てたいそうです。

意味が分かりませんでした。

今回は、その人(親)が

『子供がゲームに夢中になる事は、教育上良い』と考えていた理由

を紹介してみたいと思います。

なお、この話、知り合いの医師経由で聞いた話なので、少しややこしくなっています。ご容赦下さい。

 

さて、意味が理解出来なかった私は、その親の事を教えてくれた医師を質問攻めにする事にしました。

私「子供がゲームばかりやっていて良い、という事ですか?」

医師「そうだよ。彼(その意見を持っている人)は、全く問題だと思わないと言っていた。」

私「でも、医師って勉強しないとなれないですよね。遊んでいる暇なんて無いですよね?」

医師「そうだね。私達の時は、勉強は大変だった。特進クラスで上位にいないと駄目だったね。勉強ばかりしていたし、遊びは親から凄く厳しく制限されていた。」

私「今は、勉強しなくても医師になれるのですか?」

医師「そんな事はないだろうけど、その子供が医学部に入る事には、昔よりは簡単になる、と彼は分析しているんじゃない?」

私「仮にそうだとしても、医師には学力が必要なはずですよね。そこは、どう考えているんですか?」

医師「そこなんだよね。彼は、医師に学力は不要だと思っているらしい。」

ここまで会話を続けてきて、私の頭は混乱してきました。

医師に学力は不要?

この後、この謎は解けるのですが、皆さまは、もうお解りですか?

 

続けます。

私「すみません。良く解らないのですが、医師に学力が不要というのは、どういう事でしょう?」

医師「僕たちが勉強していたのは、診察に必要だから。でも、そういった知識を覚えたり、判断したりするのは、機械の方が得意じゃない。だから、彼は、今後、学力なんて要らなくなるって考えているらしい。」

ようやく少しだけ解ってきました。

しかし、それでも、謎はまだまだ残っています。

私「仮にそうだとしても、ゲームに夢中なのが良い、というのは?」

医師「あぁそれね。今、僕たちの成果って、手術の技術による部分が大きいんだけど、それってゲームのコントローラーみたいなのを操作するようになっていくらしいんだよ。だから、ゲームで遊んでたヤツの方が、手術が上手く出来るようになる可能性があるわけ。」

この医師の専門、外科だったのですね。忘れていました。

更に、この医師は、こう続けました。

医師「ちなみに、彼も、僕たちと同じ医療業界で働いてる人間だよ。で、僕たちの仕事をみていて、さっき言ったみたいに分析してるんだよ。僕も、そんなに甘くはないよって、一応、意見は言ったんだけどね…」

こうして、「ゲームに夢中なのは教育に良い」と考えている、その人の考えている事(主張の根拠)は解ってきました。

 

しかし、今度は、「それにしても…」という絶望にも近い気持ちがわき上がってきたのを覚えています。

仮に、「ゲームが得意な人が、これからの手術が上手く出来る」というのが本当であったとしても、医師の能力はそれだけではないでしょう。

その親には、「勉強が不要になる」という結論には違和感を感じて欲しいものです。

 

ただ、この件が、この難しい時代における「子供の将来の為に必要な教育とは、どのようなものなのか」という事を考える、良いきっかけになったのは確かです。

実際、この後、私は数日間、この議題について考え続ける事になりました(その話については、また次回、取り上げる予定ですので、少しお待ち下さい)。

 

皆さまは、自信を持って、「子供の将来の為の教育」について語れますか?