先日、日本の公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の4~6月期の運用実績が発表されました。
それによると、
「新型コロナウイルスの影響による運用損失を既に取り返し、黒字化した」
事が確認できます。
数字も紹介しておきますと、GPIFの2020年4~6月期の運用実績は、12兆4868億円の黒字(運用利回りはプラス8.30%)となっています。
昨年度(2019年度)のGPIFの運用実績はは8兆2831億円の赤字でしたから、昨年度からの通算で4兆円以上の黒字という事になります。
細かい分析をするまでもなく、「新型コロナウイルスによる相場下落の影響(損失)を既に取り戻した」と言って良いでしょう。
まず、この事実自体を日本国民として喜びたいと思います。
同時に、今のこのタイミングは、
「投資をしている人にとって、自分の株主投資を見直す良い機会になる」
と考えています。
なぜならば、「巨額を運用しているGPIFが黒字になったという事は、小口での運用をしている貴方も同様に、黒字に転換出来ていてもおかしくない」からです。
もちろん、投資スタンスが異なっている場合、現時点で黒字転換出来ていなくても問題はありません。
それでも、自分自身の投資スタンスを見直す良い機会には出来ると思うのです。
そこで、ご自身の投資スタンスを見直すきっかけとして頂く為の「質問」を用意してみました。
【質問1】
新型コロナウイルスの影響により、相場は荒れました。そして、現在に至ります。この数ヶ月間の間の貴方の行動・感情は、次の2つのパターンのどちらに該当しますか?
<パターン①>
「株価が下がる前に売るべきだったと後悔した(している)」
または
「株価が下がった後で売って、後悔した(している)」
<パターン②>
「株は売ったが、納得している」
または、
「株は売っていないが、別に気にしていない」
※投資商品には様々なものがありますが、ここでは解りやすいように「株」を例としています。また、株価が下がった場合に損失がでるという前提で質問を作成しています。
※株の売却によって損失が出たとしても、本人が納得している場合は、パターン②に該当するものとします。
皆さまは、どちらに該当されていますでしょうか。
言うまでもなく、パターン①に該当した方は、
「今が、ご自身の投資スタンスを見直す貴重なチャンス」
です。
【質問2】
貴方の運用成績についての認識は、通算で、以下の2つのパターンのどちらに該当しますか?
<パターン①>
「新型コロナウイルスの影響から抜け出せておらず、頭を悩ませている」
<パターン②>
「既に新型コロナウイルスの影響から抜け出せている(黒字化している)」
または、
「未だ赤字だが、自分の投資方針を踏まえれば納得できている」
これも説明するまでもなく、パターン①に該当した方は、この機会にご自身の投資について考え直す事をお勧めします。
もし、この機会を逃すと、次に同じような事があった場合に、「また、後悔する」ことになるでしょう。
ちなみに、今回の新型コロナウイルスは、確かに株式相場を狂乱させました。
最近、投資を始めた方は、信じられない思いで相場をご覧になっていたのではないでしょうか。
ただ、長年、投資(マーケット)に関わってきた身からすれば、「時々は発生するレベルの事件」でした。
教科書的なものを紐解けば、過去に何度も、こうした暴落事件は発生しています。
ですから、また、こうした「事件」は発生すると思っておいて頂いた方が良いでしょう。
もしかすると、「今回は失敗したが、次回こそは成功する」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、人間の心は弱いものです。
次回、同じような事があった場合に、「予定通り動けるかどうか」は、それまでに、「しっかりとした投資スタンスを固められているかどうか」にかかっています。
当社もFP業務に関係して、様々な運用を拝見させて頂いておりますが、その経験から言っても、単に「次回こそは」と思って投資を続ける方は、残念ながら、失敗し続けるケースが多いように思います。
これからの時代、資産運用は大事です。
皆さまが適切な運用スタンスを築かれる事を願って。