ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

反日によって自社が受ける悪影響を経営者はどう考えるべきか

日本企業と反日による影響


今日は、「外国での不買運動などによる影響を、日本の経営者はどう考えるべきか」という点について少しだけ。

あまりに扱うのが難しい分野ですので、これまで扱ってこなかったのですが、今後も影響が続く事が想定されるので、このブログでも少しだけ扱う事にしました。

もっとも、「政治的にどう解決すべきなのか」といった点については、このブログで扱うには重すぎます。

ですので、あくまで、このブログで扱うのは、

「日本の経営者は、今後も海外での事業活動を行っていく上で、こうした問題をどのように考えれば良いのか」

といった心構えくらいになってはしまいます。


反日の影響を受けている日本企業の経営者の思い

この問題に関して、大きな影響を受けている経営者の方々の仰る事は概ね共通です。

「売上が下がっている。自社は、これまでと同じ事をやっているだけなのに、勘弁して欲しい。」

「これまでの投資が無駄になって、がっかり。その国で受け入れられるように努力してきたのに、もうやる気をなくしてしまう。」

皆さまにも、共感して頂けるでしょうか。

経済界に限らないとは思いますが、これまで、その国で「うまくやっていこう」と苦労されてきた方であればあるほど、被害を被った時の感情は想像を絶するものであるようです。

反日問題についての基本認識

まず、この問題について意見を求められた時、憤りを覚えていらっしゃる経営者の方に申し上げるのは、

「『日本人、日本企業という事で、海外の国から何らかの反発を受ける』というリスクは常にありますし、逃げられません」

という事です。

確かに、経営者の方が、「理不尽だ」と思われる気持ちも良く分かります。

しかし、こうしたリスクは、別に日本企業に限ったものではありません。

他国の企業も、外国でのビジネスにおいては、リスクを抱えています。

昨今、良く報じられている例としては、アメリカのケースでしょう。

アメリカの企業にとっては、自国の大統領が替わった事によって、急に、商売の前提が代わり、大損害が出たりしている訳です。

経営を勉強された方であれば、「PEST分析」という事業環境の検討の際に用いられるフレームワークをご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、このフレームワークでも、P(Politics=政治要因)は先頭に来ているくらい、大きな要因なのです。

むしろ、これまで、日本企業は、恵まれすぎていたのかもしれません。

反日問題を経営者はどう考えれば良いのか

また、誤解が生じる危険性を承知で、一つの例を挙げる事があります。

それは、

「反日の問題は、体のアレルギー反応と同じような問題だと考えてみて下さい」

というものです。

アレルギー反応というと、ピンと来ない方もいらっしゃるでしょうから、ここからは、日本人にとって一番メジャーなアレルギー問題である花粉症と言い替えましょう。

花粉症は、自分の体が、異物である花粉に対して、過剰に反応する事で症状が発生します。

しかし、いつも出る訳ではなく、ある時、急激に反応が出ます。

小さい頃は出なくても、ある年齢で発症する人もいますし、その後、しばらくして、落ち着く人もいます。

そして、薬などである程度は対応出来ますが、早期に完治させる事は(今のところ)困難です。

また、その原因は、確かに、「花粉」と解っていますが、その花粉を発生させた責任を追及する事は、一般的には困難です。

すなわち、

「原因は確かにあるが、それを発生させた責任を追及して、自分の損害を補償して貰うのは難しい」

「ある時、酷い症状が出て、自分が迷惑を被る」

「短期的に完治させる事は困難だが、完全に逃げる事も難しい」

といった特徴が似ているのです。

そして、花粉症を含むアレルギー症状がおきる原因は、自分の体が、異物に反応する事によって起きていると言われています。

ですから、症状を抑える小手先の方法はありますが、完全に治す為には、「異物の侵入を完全になくす」「異物と認識しないようにする」といった方法しかありません。

反日問題も、やはり、「自国の価値観と相容れないものがある」といった認識(場合によっては感情)が根元があります。それは、「異物という認識」に似ていると言えるでしょう。

そして、日頃は、異物があっても、そこまで問題とはならなかったものが、あるタイミングで、大きなインパクトをもたらします。

それは、もともとあった「異物(花粉症であれば、花粉)」に対して、反応が起きただけで、その時に急に新しく発生したものであるとは考えない方が良いはずです。

また、花粉症が、あるタイミングで急に発症するように、そのタイミングは、一般企業がコントロール出来るレベルのものではありません。

さらに、一度、反日による影響が発生すると、その勢いには凄いものがありますが、これも、花粉症のくしゃみを自力で止められないのに似ていると思います。

こう考えると、こうした問題に対して、各企業単位で出来る事は限られている、という認識を持って頂けるのではないでしょうか。

もちろん、これは、花粉症の抜本治療に相当する、反日の根本原因をなくす努力が不要である、と言っている訳ではありません。

しかし、それは、一企業だけで完全に対応出来るレベルを超えていると思うのです。

残念ながら、一企業単位の経営で見た場合には、「常にあるリスク」と捉えるしかないと思われます。

そして、日頃から出来る事を、しっかりとしておくしかないのではないでしょうか。