ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

飼育放棄によるペットの殺処分を無くす方法を考えてみました

ペットの飼育放棄による殺処分を無くす為の対策

先日、保護犬を引き取ったという方から、

「日本はペットの飼育放棄が多い」

「ペット動物の殺処分の件数が多い」

という話を伺いました。

そこで、雑談ベースで、

ペットの殺処分を防ぐには、どうすれば良いのか?

ペットの飼育放棄には、どのような対策が有効か?

という事を考えてみたので、ご紹介させて頂きたいと思います。

なお、私は実態について詳しくないので、理屈ベースの話となります。


調べて見ると、確かに殺処分されているペットはかなりの数に上る事が解りました。

環境省自然環境局のデータによると、2020年度の殺処分は犬猫だけで23,764匹。

以前よりは随分と減っているようですが、それでも、かなりの数ではあります。

もちろん、この数字は飼い主の飼育放棄によって発生した分だけではありません。

しかし、同年度中に公的機関が飼い主から引き取った犬猫は12,880匹いる事が解っています。

その数字を踏まえると、やはり飼育放棄の問題は小さくないように思います。

私も広告などで「ペットは責任をもって飼いましょう」といった趣旨のメッセージが発せられているのは時々見ていたのですが、ここまでとは思いませんでした。


ペットが殺処分される理由には、病気などの理由もありますが、ここで対策を考えるのは、「飼育放棄によって、殺処分されてしまうケース」に絞りたいと思います。

まず、対策を単純に考えれば、「飼い主が飼い続ければ良い」という話になる事でしょう。

しかし、「飼い始める時は、死ぬまで面倒を見るつもりだったが、気分が変わった」という飼い主が一定数出る事は避けられないように思います。

そして、あまり飼育放棄を厳しく制限しても、今度は、「ペットを捨てる」や「ペットを事故死に見せかけて殺してしまう」といった飼い主が生まれかねません。

また、「飼い主が病気で飼い続けられなくなった」や「飼い主が突然死してしまった」などの事情でペットを飼えなくなる事もあるでしょう。

そう考えると、「飼い主が飼い続ける」という対策だけで対応する事は、かなり難しい(不可能)と考えざるをえません。


では、「飼い主がいなくなっても、ペットを殺処分しなくて良い仕組みを作っておく」という対策の考え方はどうでしょうか。

すなわち、「ペットにとってのセーフティネット」を事前に用意しておくという対策の方向性です。

具体的には、ペットの飼い主が飼育出来なくなったとしても、他の人(組織)が、そのペットを寿命まで世話できる体制を作っておく

そうすれば、少なくとも、そのペットが殺処分される事態は避けられるのではないでしょうか。

この方が、実現性は高そうな気もします。


では、その為には、何が必要か。

やはり、「お金」だと思うのです。

すなわち、そのペットが寿命で亡くなるまでの間の様々な費用が、しっかりと用意されており、また、飼育によって一定の利益が得られる仕組みがあれば、ペットを寿命まで飼育してくれる事業者を見つける事は難しくないと思うのです。


このように考えると、ペットの殺処分を防ぐ為に必要な仕組みとは、

ペットの面倒を見始める時に、仮にペットの面倒が見られなくなっても、そのペットを第三者が寿命まで世話する為に必要な費用を拠出しておく仕組み

ではないかと思うのです。

より具体的には、

・ペットを飼い始める時には、そのペットの平均余命までの世話に必要な費用に一定の利益を加えた額を、第三者に拠出しておく(預けておく)。

・飼い主が問題なく飼い続けた場合には、一定期間ごとに、拠出したお金の一部を受け取る(そのペットの平均余命までの期間が短くなった分のお金)。

・いざ、ペットの面倒が見られなくなった場合には、そのお金を使って、そのペットの寿命まで第三者が面倒を見る。

そういう仕組みを作れば良いのではないでしょうか。


ただ、この仕組みには、更にいくつか気をつけなければいけない点があります。

まず、ブリーダー(繁殖業者)の扱いについてです。

このような仕組みをいくら整備しても、ブリーダーがペットを大量に繁殖させ、飼い主に紐付かないペットを生み出してしまうと、仕組みは崩壊する事でしょう。

この仕組みは、全てのペットについて、「寿命までの世話賃が用意されている状態」が用意できる事が前提となっているからです。

ですから、ブリーダーの繁殖は、しっかりと管理されなければなりません。

そして、ブリーダーがペットを繁殖させた時点(生まれた時点)で、その個体の寿命までの世話賃をブリーダー自身が第三者に供託するような仕組みにするしかないように思います。

もちろん、そのコストはペットを購入した人から代金の一部として受け取る事で、回収する事は出来る仕組みとします。

繁殖に関わるコストが恐ろしく増える事になると思いますが、結果、今よりも大事に繁殖が行われるようになる効果も期待できるように思います(現在は劣悪な環境で繁殖させているブリーダーもいるそうです)


また、同じ理由から、一般の方が飼育できるペットについては、避妊済のペットを原則とするしかないようにも思います。

ペットは子供を生む可能性があり、その場合、その子供についても、「寿命までの世話代」が拠出されていないと、この仕組みは崩壊してしまうからです。

もし、子供を作れる能力を持ったペットを飼育するのであれば、前述の「ブリーダー」と同じように扱わない限り、この仕組みは崩壊します。


さて、言うまでも無く、このような仕組みを構築した場合、「ペットを飼う」という行為のハードルは大幅に上がります。

しかし、考えてみて頂きたいのですが、この仕組みで「ペットを飼い始める時に拠出すべき金額」とは、ある程度の上乗せはあるにせよ、ペットを飼う人が、今後、実際に支払う事になる費用なのです。

ですから、その費用をみて、「とても払えない」と思う人は、そもそも、そのペットを飼うべきではないのかもしれません。


改めて書きますが、ペットを飼うという事は、実際に動物の命に関わる行為です。

そして、実際に、多くの動物が殺処分されている現実があるのです。

殺処分を良しとするのであれば、もちろん、こういった仕組みは不要という事で良いでしょう。

しかし、「ペットの殺処分を出来る限り避けるべきである」と考えるのであれば、こういった仕組みの導入には一考の余地があるように思います。

皆さまはいかがお考えでしょうか。


※この仕組みのアイデアは、既に存在するビジネス上の仕組みから着想し、また、応用させています。

※話が複雑になるので省きましたが、本当にこういった仕組みを構築する場合、拠出するお金については、保険のような形で低額を長期払いするような制度の導入も可能と思われます。