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ダイレクトインデックスとは?インデックス投資の問題点に対応!?

ダイレクトインデックス

今日は、ダイレクトインデックスという投資手法についてご紹介させて頂こうと思います。

ダイレクトインデックス投資は、インデックス投資という投資手法の改良版とも言えるものです。

この為、そもそものインデックス投資をご存じない方にはお勧めできないものなのですが、「インデックス投資をやってみたいが、理由があって出来ない」や「インデックス投資を改善したい」という方にとっては、救世主となる可能性のある投資方法です。


ダイレクトインデックス投資について説明する前に、まず、インデックス投資について簡単に。

インデックス投資とは、株価指数(TOPIXなど)に連動した投資を行う事です。

株価指数というのは、複数の銘柄の株価を集計して、株価が上がっているのか、下がっているのか、を数値化したものです。

例えば、TOPIX(東証株価指数)であれば、旧東証1部に上場している全ての株価を集計しています(東証の市場区分見直しにより、今後は市場区分からは切り離された銘柄選定となる予定)。

この為、TOPIXに連動したインデックス投資を行う場合、TOPIXが上がれば自分の資産も増え、TOPIXが下がれば自分の資産も減る、という事になります。

そして、主要な株価指数に連動する商品が用意されていますので、そのような商品に投資する事で、初心者でも簡単にインデックス投資を行う事が可能です。

「インデックス投資が本当に良い投資手法なのかどうか」という点については議論のある所ですが、初心者にもお勧めしやすい投資手法の一つである事は間違いありません。


しかし、このインデックス投資にはいくつかの問題があると考え、インデックス投資を好まない(または、出来ない)人もいます。

その一つが、「自分が投資したくない銘柄にまで、投資をしてしまう事になる」という問題点です。

インデックス投資が株価指数に連動する投資である以上、その株価指数を構成する銘柄全てに投資する事は避けられません。

しかし、倫理上の理由などから、「特定の会社への投資を絶対に避けたい」という人もいます。

例えば、「兵器産業への投資は出来ない」や「タバコ銘柄への投資は避けたい」など。

その他、最近は「SDGsやESGに前向きではない銘柄への投資を避けたい」と考える投資家も増えてきました。

もう少し個人的な理由だと、「勤務先の会社への投資は、別途、社内制度を活用して行っているので、外部で行う投資からは外したい」という希望を持つ投資家もいます。

また、そのような事情がなかったとしても、明らかにパフォーマンスが悪いと解っているような銘柄までが株価指数の構成銘柄になっている事は多く、「そのような銘柄への投資を避けたい」と思われる方は少なくありません。

この問題を解決するのが、ダイレクトインデックスによる投資なのです。


ダイレクトインデックス(direct indexing)とは、簡単に言えば、自分が投資したくない銘柄を省いたインデックス投資を行う事が出来る投資です。

実は、以前から、株価指数の構成銘柄を個別に購入していく、という方法では、そのような投資は可能でした。

例えば、「225銘柄で構成されている株価指数に連動する投資を行いたいが、そのうち1社だけには投資したくない」という場合には、残りの224銘柄を個別に購入すれば、そのような事は可能だったのです。

ただし、そのような投資はコストも高額になりがちですし、投資総額は膨らんでしまいます。

この為、かなり大きな金額の投資を行う投資家以外には、そのような投資は難しかったのです。

しかし、近年、様々な工夫により、比較的小さな金額から、そのような投資を可能とする商品が発売されるようになったのです。

その結果、海外(特に米国)では、ダイレクトインデックス投資が普及しつつあるのです。


ダイレクトインデックス投資のメリットは明確で、「インデックス投資の『投資したくない銘柄に投資してしまう』という問題点を解消できる」という点です。

※米国では、節税目的から、このダイレクトインデックスが注目された面がありますが、日本とは事情が異なりますので、この点についての説明は省略します。


しかし、ダイレクトインデックス投資には、デメリットもあります。

通常のインデックス投資と比べ、コストは高くなってしまうのです。

インデックス投資の経費率も一律ではないので、どの程度、インデックス投資よりも経費率が高くなるかは個々に判断するしかありませんが、オーダーメイドで作る投資商品である以上、インデックス投資よりも経費率が高くなる事は避けられません。


また、構成銘柄を大きく修正してしまった場合、個別株の購入や、アクティブ型と呼ばれるような投信への投資に近いものとなってしまいます。

そのような場合には、「幅広い銘柄に投資する事によって、インデックス投資のメリットがある」というインデックス投資のメリットが失われてしまう危険性があります。


ダイレクトインデックス投資を行われる場合、これらの点には十分にお気を付け下さい。


なお、今後、日本でどのくらいダイレクトインデックス投資が注目されるかは解りません。

しかし、「インデックス投資の優位性」が注目され続けると共に、投資したくない銘柄を意識する人が増え、かつ、投資したくない銘柄が投資家によって異なるようであれば、ダイレクトインデックス投資が日本でも注目される可能性は十分にあるように思います。