今回のコロナ騒ぎに関して、スタバとタリーズでは店舗休業・再開方針が随分と違うな、と感じた方も多いのではないでしょうか。
スタバが営業時間短縮や休業する時には、都道府県ごとに一斉に変更され、ホームページでも、その方針がしっかりと掲載されています。
これに対して、タリーズは、店舗ごとにバラバラでした。
早めに休業した店があったと思えば、かなり長い間、営業を続けていたり。
ある店では営業時間を短縮したと思ったら、ある店では休業を解いて、テイクアウトだけの営業を始めたり。
他のチェーン系カフェでも似たような事がありました。
エクセルシオールカフェやコメダ珈琲店などは、タリーズに近かったようです。
この違い、実は理由があるのです。
一般の方とお話していた所、意外と知らない方が多いようだったので、今日は、そんなお話を。
ちなみに、スタバとタリーズで、「おかわりコーヒー」の仕組みが違うのも、同じ理由です。
さて、店舗運営の方針が違う理由ですが、
結論から言ってしまえば、
「店舗の経営に関する仕組みが全く違うから」
という事になります。
スタバ(スターバックスコーヒー)は、原則、全ての店舗が直営です(例外あり)。
すなわち、日本のスタバを統括する一つの所で、全ての店舗の運営方針を決めています。
ですから、店舗運営の方針に関しては、「会社の方針」として、ホームページにも掲載されますし、全店舗がその指示に従います。
これに対し、多くのチェーンにおいては、「フランチャイズ」と呼ばれる運営形式が導入されています。
これは、コンビニの仕組みと同じです。
各店舗は、それぞれの店舗を運営する会社によって運営されています。
ただし、店舗のメニューなどは「本部」などと呼ばれる会社が開発しており、広告も本部がまとめて行うのが基本です。外観や内装も本部が定めたものを使います。
ですから、知らない人は、全ての店舗を同じ会社が運営していると勘違いしてしまうかもしれません。
しかし、このフランチャイズで運営されている店舗の場合、各店舗で働く従業員は、その店舗を運営している会社に雇用されています。
そして、利益が出れば、その店舗を運営している会社の利益になりますし、逆に、損が出ても、本部の損失にはなりません。あくまで、独立採算で運営されています。
本部は、各店舗に様々な支援をして、その対価として費用を受け取っているに過ぎないのです。
ピンと来ない方は、こういうビルのオーナーを想像してみて下さい。
「うちのビルの一階が空いてるから、カフェを始めようかな。でも、自分で一から準備するのは大変だから、○○(カフェチェーンの名前)の店舗を出そうかな。」
この時に、直営店しか出さないチェーンに頼むと、
「解りました。うちの店舗を、そちらのビルに出店します。運営は全てうちでやります。儲かった場合の利益も、全て、うちで頂きます。家賃だけお支払いしますね。」
となります。
これに対して、フランチャイズを前提としたチェーンに頼むと、
「ノウハウは提供しますので、そちらで従業員の募集をして下さい。集まったら、うちで教育します。提供する商品は、うちから仕入れて下さい。儲かったら、利益は貴方のものです。ただし、うちの名前を使って商売する訳ですから、その為の費用は払って下さいね。」
といった感じになります(契約によって詳細は変わります)。
全く違う訳ですね。
もうお解りですね。
スタバは直営だから、全ての店舗の方針を1つの会社が決める。
タリーズなど他の多くのチェーンはフランチャイズで、各店舗の運営はそれぞれの会社が行っており、本部は経営責任を負っていないので、本部が強く各店舗の運営に介入する事はない。
だから、運営方針が全く異なっていたのです。
なお、フランチャイズ制度を導入しているカフェチェーンであっても、本部による直営店もあったりもします。
そういった直営店については、スタバと同じように、本部が一括して方針を決めているケースが多かったようです。
解りやすい所だと、ドトールコーヒーは、店舗の営業方針について、
「~地域の直営店舗は休業を継続致します」
などと、直営店舗とそれ以外で運営方針が違う事をホームページ上のお知らせで明記しています。
そして、直営店舗の一覧を載せています(ちなみに、エクセルシオールカフェは、ドトールコーヒーの1ブランドです)。
今日のお話は以上ですが、こうした仕組みについて、ご存じなかった方は、今後、
「このチェーンは、全店舗が直営店だから店舗によってサービスは同じはずだな」
とか、
「同じチェーンでも、○○店と○○店では経営が違うから、サービスのレベルが違うのかな」
などと考えながら利用されると面白いかもしれませんね。
そうそう、「コーヒーのお代わりの割引制度」を比べてみても面白いですよ。
スタバには、珈琲を飲んだレシートを持って行くと、2杯目を割り引きしてくれる制度があります(同じ日に限ります)。違うスタバの店舗で飲んだ珈琲のレシートであっても大丈夫です。
競合であるタリーズも全く同じ制度を用意していそうなものですが、実は、タリーズは、「1杯目と同じお店」でなければ、2杯目の割引をしてくれません。
この理由も、もうお解りですね。タリーズの場合は、店舗をまたぐと、運営している会社が異なってしまうので、気軽に割引制度を作る事が出来ないのです。
直営とフランチャイズで、こういった所にも違いが出る訳ですね(理由は公表されていないので、あくまで推測です)。