経営のリスク管理の視点を持ち込むと、来年の東京オリンピック開催にあたっては、
「オリンピックの世界同時分散開催」
を今から検討しておくべきではないか、というアイデアが思いつきます。
「意味不明」とお感じになった方は、最後までお読み頂ければ幸いです。
東京オリンピックを取り巻く環境を冷静に考えると
皆さまもご存じの通り、2020年東京オリンピック・パラリンピックは2021年7月~9月に延期されました。しかし、この日程で問題なく開催出来ると自信を持って言える人は、どの位いるのでしょうか。
報道されている内容を確認しても、
「ワクチンが出来なければ絶望的」
といった専門家の見解が紹介されています。
そして、そのワクチンについては、「18ヶ月を要する(米国立アレルギー・感染症研究所のAnthony Fauci所長)」や「最短で9カ月、最長2年以内にワクチンが開発できる(Bill & Melinda Gates FoundationのBill Gates氏)」といった声が紹介されています。
十分間に合うとは到底言えない状況です。
さらに、ワクチンが出来ても、2021年7月までに、「日本に来る来場者の全てに問題がない」と確認が出来るようになったり、「日本人全員が免疫を持っている」という状態に出来るようになったりするとは考えづらいでしょう。
こうした点を冷静に考えると、低くない確率で、
「2020年東京オリンピック・パラリンピックを2021年7月~9月に、予定通りのかたちでは開催できないかもしれない」
と考えざるを得ません。
希望的観測が外れると東京オリンピックはどうなるか
では、残念な事ではありますが、こうした予想が当たり、「東京オリンピックが予定通りのかたちで開催できない」ことになった場合、どうなるのでしょうか。
再延期が出来るのであれば、様々な問題はあれど、問題は無いかもしれません。
期待通り、多くの人が世界中から訪れ、経済効果も相当なものになる事でしょう。素晴らしいですね。
しかし、再延期は困難と言われています。
詳細な説明は避けますが、
・会場など準備面での問題
・次のオリンピックとの時期の関係
・選手選考の問題
などが取り上げられており、再延期はかなりハードルが高いようです。
ですから、現状のまま検討が進んだ場合、
・楽天的な予想が現実となり、予定通りに近いかたちで東京オリンピックが開催できる
(または、様々な問題があるのに、実行が強行される、かもしれません)
または、
・東京オリンピックは開催できず、中止になる
のどちらかになってしまうと予想されます。
経営のリスク管理から考えると何を考えるべきか
もちろん、前者になれば良いのですが、経営のリスク管理の考え方からすると、そういった「運任せ」は好ましくありません。
もし、これが会社の経営であれば、「悪い予想が現実になった場合の事を想定して、次善策を練っておく」事が求められます。
そうでなければ、
「確率の悪い賭けに失敗したので、事業が失敗してしまいました」
などと言って潰れる会社が続出する事になります。
今回の東京オリンピックの開催は、東京都や日本にとって、決して小さくないイベントであるはずです。
そう考えると、やはり、「リスクシナリオ」を想定した対策を今から検討しておくべきだと考えられるのです。少なくとも、経営の視点からは。
東京オリンピックの世界同時分散開催という奇案
前置きが長くなりましたが、では、どのような次善策を考えるべきなのでしょうか。
リスクシナリオとしては、
「世界中の選手や観客が日本に来れない」
といったものを想定すべきでしょう。
もちろん、「一部の地域の選手や観客だけが日本に来る事が出来る」という限定的なものも想定した方が良いかもしれません。
そして、目指すべきは、
「何らかのかたちで、オリンピック競技を実施し、観客にも届けること」
でしょう。
できれば、「日本開催のオリンピックとして、(良い意味で)皆の記憶に残る大会にする事」や「日本企業の発展や技術革新に繋げる事」が出来ると良いですね。
そう考えると、
「選手や観客が日本に来なくても、実施できるオリンピック」
という事が自然と思いつきます。
例えば、
「仮想的に、世界中の競技会場を繋ぐ事で、実際には各競技場で行われているにも関わらず、同時に競技を実施しているように処理する(観客に、そのように見せる)」
といった、一見、奇抜とも思えるようなアイデアが思いつきます。
また、
「世界中の応援会場と日本の競技会場を繋ぎ、観客のイメージや歓声・熱気を高度に再現する事で、日本に来られない観客との一体感を生み出す」
といったアイデアもあり得るでしょう。
もちろん、今の技術では、同一会場で競技が行われたのと同じ水準を再現する事は不可能でしょう。また、競技によっては、全く実現が出来ないものもあるでしょう。
しかし、こういった事を真剣に検討する事で、東京オリンピックが予定通りのかたちで開催出来なかったとしても、
・一定の収入を確保できる道が開ける
・関連する技術の革新が実現出来れば、オリンピックによるレガシー(遺産)になる
・せっかく招致した東京オリンピックを世界中の人々の記憶に残す事ができる
といったメリットを実現させられる可能性が出てきます。
うまく日本中の知恵を集める事が出来れば、中止によるマイナスを最低限に抑え、場合によっては、通常の開催以上のプラスに繋げる事すら出来るかもしれません。
皆さまは、こうしたアイデア、どう思われますか?
最初に戻って、経営のリスク管理の視点から考えると、少なくとも「何もリスクシナリオを想定せず(次善策を考えず)、希望的観測に頼るよりは明るい道が待っている」ように、私には思えるのですが。