ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

新型コロナウルスによる廃業を防ぐ為に政府がやるべきだった事

新型コロナウイルス 廃業 防ぐ 対策

残念ながら、新型コロナウイルスを理由とした廃業が報道され始めています。

この事態は、外出制限の要請が始まった時点で予想はされていた事です。

そこで、以前、社内で

どうすれば、新型コロナウイルスによる廃業を最低限に抑える事ができるだろうか?

というテーマで検討した結果を、このブログに載せてみる事にしました。

ここで書かれている事は、専門家であれば、すぐに考えつく事ばかりのはずです(実際、海外では既に導入されている内容も含まれています)。

できれば、今からでも検討・導入して頂きたい点もあります。


<目指すところ>

とにかく、

外出自粛によって売上が急減する中でも、廃業しなければならない事業を減らす

という事に尽きます。

そして、

外出自粛が終わった後に、以前と同じ(または近い)状態で営業再開できる

という事を目指すべきである、と考えました。


<廃業する理由は何か>

ご存じの通り、営業を中断しても多くの費用は継続的に発生し続けます。

売上が急減し、それを支払うだけの力がなくなると、事業主は廃業を考えざるを得ません。

廃業をストップさせる為には、それを防ぐ事が目的となります。


<最低限、対応すべき項目>

その為には、何を支援すれば良いのか。

多くの事業に共通する、「売上とは関係なく継続的に発生する費用」で大きい項目は以下の3項目です。

・人件費(給与)

・家賃

・支払金利

※もちろん、事業によって差はあります。 

ですから、これらの項目に対応する事を対策の基本方針と考えました。


<具体的に、どう対応するのか>

1.人件費

まず、人件費(給与)については、通常時の給与の約6割を政府が支援(会社からのオンライン申請に基づき、口座振込)してはどうでしょうか。もちろん、従業員を解雇しない事が条件です。

これによって、これまで雇用されてきた人の生活は最低限守られます。

そして、各生活者から申請を受け付けるよりも、効率的です。

休業によって収入が減額になったりする人はいるでしょうが、最低限、生活できる収入が確保できていれば、そこは諦めて貰う事にしましょう(皆で痛みは分かち合う)。 

2.家賃

当面の間、家賃を支払わなくても、支払遅延とならない特例を設ける。

すなわち、家賃を滞納しても、そのまま継続利用できるものとする。

本来は、支払免除、または、補助金といった事も考えたいところですが、検討すべき点が多く、議論がまとまらない事が予想されるので、一旦、支払猶予とする。

その上で、どういった対策がベストなのか、時間をかけて検討する(対象を絞り込んで支払免除や補助金支給など)。

3.支払金利

同じく、当面の間、金利を支払わなくても支払遅延とはならない特例を設ける。

こちらも同じく、その間に、どういった対策がベストなのか時間をかけて検討する。


<期待される効果>

まず、「支払うお金が本当にないので、廃業するしかない」というケースは激減するでしょう。

また、従業員側も、雇用継続の可能性が高まり、社会安定的にもプラスと考えます。


<追加で対応しないといけない点①(運転資金の確保)>

ただし、それでも運転資金に困る事業はあるでしょう。

その為に、借入をしやすくする為の対応は必要だと考えます。

具体的には、

・無担保での借入枠を設ける(政府系による保証など)

・低金利への誘導(金利を補助など)

などを追加検討すべきでしょう。


<追加で対応しないといけない点②(負債額増加懸念への対応)>

また、前述のような支払猶予を導入したとしても、

「後で返さないといけないお金が増えるだけなのであれば、とにかく廃業したい」

と思う事業主はいる事でしょう。

その為、正常に戻った後、一定期間内に廃業する事にした場合には、滞納中の家賃については免除される約束もしておくべきでしょう。

とにかく、今は、廃業を急がせない事も大切と考えます。


<追加で対応しないといけない点③(支払猶予の相手側への対応)>

前述の対応を採用すると、家賃や金利収入を得ている事業者は目先の入金がなくなる事になります。

しかし、そこは一旦、諦めて頂くしかないと考えます。

テナントや貸出先が急いで廃業してしまえば、今後の収入も減る訳ですから、この点については、一定の理解は得られると考えます。

ただし、同時に、以下の2点は対応が必要と考えます。

・税金などの支払も猶予する(支出だけが続く状態を改善)

・最低限の事業維持や生活に困るケースへのフォロー


<追加で対応しないといけない点④(フリーランスへの対応)>

ここまでで、多くの事業の廃業(倒産)を一旦食い止め、そこで雇用されている人の不安も抑える事が出来ると考えます。

しかし、そこから外れてしまっている層がいます。それが、フリーランスの人達です(雇用契約以外で給与に近い収入を得ている人達)。

この方々に対しても、一定のフォローは検討すべきと思われます。

フリーランスは事業主ですから、上の「運転資金の貸付だけで良い」という考え方もあるでしょう。しかし、実態が給与所得者に近いという面もありますので、給与所得者に近い所得補償は必要かもしれません。


<その他留意点>

「これまでと同じように営業できている事業(特に、休業要請されているのにも関わらず、休業していない事業)」に関しては、こうした支援の対象外として良いでしょう。


<問題点>

問題点としては、「財源」に尽きると思われます。

この点については、当ブログで扱える範囲を超えていますので、政治・行政にお任せするしかありません。

しかし、一度、廃業されてしまえば、その事業から二度と税は取れません。

また、解雇された従業員の消費意欲が戻るにも時間がかかるでしょう。

それらを考えると、とにかく、

経済が通常に戻るまで、現状をキープしておく

という考え方は、中長期的には財政にとってもプラスであるように思います。

いかがでしょうか。

 

※この記事で取り上げている対策には、実際に日本でも検討・一部実施されているものが含まれます。