ビジネスコンサルティングの現場から

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新型コロナで苦しむ社長へ!営業再開だけで売上が復活する訳がない

新型コロナ 売上減少 経営環境の変化

今回は、対象(読み手)を「新型コロナウイルスで売上が大変な事になっている会社・店舗の経営者(社長、オーナー、店長など全て含む)」に限定した記事です。

ただし、「売上が大変な事になっている中で、各社・各店は何をすべきなのか」や「新型コロナウイルスの時代に儲けられるビジネス」といった点にも触れますので、ビジネスに関心のある方は、ぜひ、最後までお読み下さい。


4月7日の緊急事態宣言発令から、随分な時間が経ちました。

経営者の皆さま、新型コロナウイルス『後』の時代に合わせた、経営の見直しは順調でしょうか。

この質問に、「順調に進んでいる」と回答できる経営者の方は問題ないのです。

キチンとした経営が出来ている会社は、今回の変化が、「容易には元に戻らない経営環境の変化である」という事をしっかりと理解した上で、「構造的に売上が減少した時に取るべき対策」をしっかりと検討し、既に行動に移しています。


ですが、

「特別な対応もしていないのに、従来通りの売上に戻る」

と考えている経営者もいらっしゃるようです。

これは、本格的に不味いです。

今回の新型コロナウイルスが経営に与える影響は、

「今年は、法律を変えて、営業できる日数を減らしてみました」

というような単純な悪影響ではありません。

緊急事態宣言が解除されたからといって、以前と同じに戻る訳ではないのです。

もちろん、

「休業で売上が減った分と、補助金の額の、どちらが多いかな」

などと悩んで終わりにできる話でもありません。


ここまで読んでも、未だピンと来ていない経営者の方。

良く、「新しい生活様式」という言葉がメディアで取り上げられていますよね。

それが「自社の経営の前提を変化させる」という意識を持って下さい。

他にも、「生産拠点の国内回帰・多元化」「ワークスタイル変革」といった要素が、同様の意味を持つ業界・会社もあるでしょう。

新しい経営の前提に対応しない限り、売上は元には戻らない可能性があるのです。

ただし、うまく新しい世界に対応できれば、以前よりも売上が上がる会社も生まれてくる事でしょう。


経営者は、最低限、3つのレベルで経営が影響を受ける事を理解をするべきです。

まず1つ目は、「業績への短期的な影響」。

これは、皆様が既に理解している内容でしょう。

基本は、「営業日が減る・営業時間が減る」や「自粛モードで来客が減る・消費意欲が落ちている」といった事による影響です。

その他、「子供が通う学校が休みになったせいで、予定通りに出社できない社員がいた」や「感染防止の為に店内工事をした」などによる影響も、ここに含まれます。

こういった影響は数字としても読みやすい(算定しやすい)ですし、新型コロナウイルスの国内での爆発的な感染拡大さえ防ぎ続ける事が出来れば、経営へのインパクトとしては、今後は、そこまで大きなものにはならないでしょう。

ですから、今は大変な問題ですが、この記事の主題にとっては、そこまで大きな話ではありません。


次の2つ目は、「業績への中期的な影響」。

これは、

・訪日外国人相手の商売は、当面、期待できない

・入店者数や席数に制限を設けて営業する為、当面、今までのような顧客数は期待できない

といったものが解りやすいでしょう。

その他にも、

・社員が新型コロナウイルスに感染した場合の事を想定して、社員の勤務態勢を変更した(勤務をグループ分けして、1人が感染しても残った社員で勤務が続けられるような体制を組む、など)

・国際分業体制に影響が出る(これまでと同じようには、海外を国内に近い拠点としては考えられなくなる)

・社内外の感染防止策のせいで、以前ほど円滑に業務が進まなくなる

といった理由により、中長期的に、業績が一定の悪影響を受ける事は避けられないでしょう。

営業時間や顧客減とは関係ない所で、かなりの影響が業績に出る会社も少なくないはずです。

そして、このような影響は、新型コロナウイルスの完全な押さえ込みが終了するまで続く事でしょう。


最後の3つ目は、「経営の前提の抜本的な変化」です

少し難しめのものも多いのですが、例えば、

・消費者の嗜好が変わって、以前のようなニーズは戻らない

・サプライチェーンの見直し(例えば、生産国の変更など)が発生し、顧客からの発注が戻らない

・自国主義が強まり、期待していた海外投資への許可が下りなくなる

といったものです。

ピンと来ないものがあっても大丈夫ですが、こうした変化は、これまで行ってきた商売の前提を根本から変えたりします。

すなわち、以前立てた計画通りに事業を運営できなくなるインパクトを持っています。

ですから、経営者としては、「事業の前提が変わった」と割り切り、事業計画を練り直す必要があるのです。

それが出来なければ、永遠に、元の売上規模や成長路線には戻れない会社が多いでしょう。

ですから、このような要素に心当たりがある経営者の方は、急いで、経営計画の見直しを行って下さい。


さて、ここまでは暗い話ばかりをしてきましたが、経営環境が変化すれば、新しいビジネスチャンスも生まれます。

既に報道されているだけでも、

・衛生関係のビジネス

・リモートワーク関係のビジネス

・食事のデリバリー関係のビジネス

などには、特需があった所もあるようです。

その他に、今後、ニーズが表面化する分野もあることでしょう。

例えば、

・新型コロナウイルスの感染者が出た場合の保険(休業補償、対応費用など)

などは、今後、需要が生まれそうな新規ビジネスとして、すぐに思いつきます。

各業界・各社によって、どういったビジネスチャンスがあるかは様々だと思いますが、危機のあるところにはチャンスもある事は確かです。

ぜひ、後ろ向きな気持ちに支配されるだけではなく、各所で前向きな事についても考えて頂きたい所です。