ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

ファミレスとカフェは、お互いに隣の芝生は青いらしい

ファミレス カフェ 経営 ビジネスコンサルティング

ファミレスの店長とお話をさせて頂く機会がありました。

店長曰く、

「最近、ファミレスがカフェ化してきている」

のだそうです。

私も時々はファミレスのお陰で助かっています。ちょっと話を聞いてみる事にしました。

ファミレスの店長の愚痴

「昔は、ファミレスといえば、家族みんなで来るハレの場だったんだよ。家族で少し贅沢する場。そこで家族の仲が深まる。そういう場所を提供するのが、この商売の醍醐味だったわけ。素晴らしい話だろ?」

私が思っていたより、この店長、ファミレス歴が長いようです。それほどの歳だとは思っていなかったのですが、実は、相当な年齢なのかもしれません。

「ところが、最近はどうだい。ドリンク中心で来て長居する。食事はおまけ。贅沢しようなんていう感覚は全然ない。」

確かに、昔と比べると、ファミレスのイメージは大きく変わってしまっているのでしょう。そこは議論の余地がないように思えました。

ファミレスの店長の分析

そこで、ちょっと違う方向から話を進めてみることにしました。

「でも、飲食店がすごい勢いで潰れる中で、このお店は長く続いてますよね。世の中のニーズの変化に対応出来ているって事でしょう。素晴らしい事じゃないですか?」

面白い回答が返ってきました。

「時代の流れ?それに合わせるなら、ファミレスで食事を出すのを止めればいい。外で買ったものを持ち込み可にすればいい。」

この店長、凄い事を言い出します。

数分前までは、昔の事とはいえ、贅沢な食事を提供する事を「誇りだ」と言っていたはずなのに、今は「自分の店から食事を外す」と言い出します。

この考え方の柔軟さ、もしかすると、ファミレスの店長にしておくには勿体ない人材なのかもしれません。

私の理解が間違っていないか、聞いてみました。

「店長は、ファミレスでフードを出すのを止めて、飲み物だけにすれば、もっと儲かるとお考えですか?」

答えが返ってきました。

「そうに決まってるだろ。」

説明が続きました。

「食事に対しては、今の客はコスト意識が高すぎる。それに比べて、ドリンクは単価が低い事もあって、意外と財布の紐が緩いだろ。もうちょっと力を入れて、うちで出すドリンクの単価を上げられれば、食事を出すより儲かるはずだ。」

ちょっと考えた後、さらに続きました。

「ドリンクだけってのは嘘。甘いものくらいは残したいな。甘いものは、今でもバイトだけで作れてるし、単価も比較的高いしな。」

この店長との会話は、これで終わりでした。

確かに、有名カフェチェーンで、高額なドリンクを頼んでいる人は少なくありません。

その価格は、下手をすると、ファミレスの低価格フードより高いことすらあります。それを見ていると、この店長のように思ってしまうのも仕方がない事なのかもしれません。

カフェの店主の主張

しばらくして、今度は、カフェの店主と話す機会がありました。

そして、このカフェの店主、偶然にも、こんな事を話すのです。

「ドリンクだけだと辛い。客単価を上げる為に、フードを充実させたい。」

ファミレスとカフェの主張の比較

面白いですよね。

先日のファミレスの店主は、フードを止めてドリンクに集中したい。

かたや、今度のカフェの店主は、ドリンクだけでは辛いから、フードをやりたい。

しかし、このような「隣の芝生は青い」的な事をお互いに思っている、という事は、意外と世の中に多いのかもしれません。

皆さまは、この2人、どちらが正しいと思われますか?

 

ちなみに、「こうした理由を考えるのが面白いな」と思われた方は、経営やビジネスコンサルティングに向いているかもしれません。

更に余談ですが、カフェの店主から話を聞いた時、「この2人を、店をそのままにして入れ替えて、どうなるか見てみたい」と心の中でこっそり思ったのは、ここだけの内緒です。