今日は少し軽めのお話を。
経営者の立場になって、答えを見つけるつもりで考えながら読んで頂くと、頭の体操になるかもしれません。
また、お店の出店に関係している(いた)方は、ご自身の経験を踏まえながら読んで頂くと、面白く読んで頂けるかもしれません。
お話の内容は、先日、私の身近で起きた「お店の出店場所についての、不動産業者と出店希望者との会話」です。皆さまは、この出店希望者のように、不動産業者に騙されてしまうでしょうか。
さて、前置きはこの位にして、始めましょう。
先日、旅行先の小さな駅で降りて、駅前でバスを待っていました。
バスが来るまでには少し時間がありましたので、駅前を散歩していました。
駅前といっても、小さなターミナルがあるだけのローカルな駅です。
ただし、観光地という事もあって、お店が数軒はありました。
そこで、不動産業者と出店候補地を見てまわっている、と思われる夫婦と出くわしました。
こちらは時間を潰している身です。少し聞き耳を立ててしまいました。
不動産業者は、こんな説明をしていました。
「駅前の最高の立地です。こんな物件は、なかなか出ないですよ。」
「先日まで営業されていた店の跡地なので、居抜きで使えます。そういう意味でも最高の物件です。」
「人気ですから、すぐに申し込んで下さい。たぶん、明日になると他の人に取られてしまうと思います。今、決めて貰えれば、私の方で○○さんの為に確保させて頂きます。」
そして、こんな事も言っていました。
「ここは、電車を降りて駅から出てくる人も多いです。お店を出せば、儲かること間違いなしです。見て下さい。人が多いでしょう。これだけ人が集まる場所、なかなか無いでしょう。」
確かに、先ほど電車が着いたばかりという事もあって、そして、私と同じようにバスや迎えの車を待つ人が大勢いて、周囲は人であふれかえっていました。
どうなるのかな、と思って眺めていると、人の良さそうな夫婦は、どうも、この場所に決めたようでした。この不動産業者、かなりの「やり手」のようです。
ちょっと気になって、後日、知り合いに値段を聞いてみた所、その場所の賃料はかなり高額になる事が予想されるようでした。
しばらくして、全く違う場所ですが、同じように、店舗用の不動産を見てまわっていると思われる夫婦に出くわしました。
今度は、駅から遠い場所です。
ただし、駅からは遠いものの、観光地に向かう為に多くの人が通る場所でした。
そして、周囲には、お店がほとんどない場所でした。
こちらの不動産業者は、こんな風にセールスをしていました。
「見て下さい、この人通りの多さ。ここに店を出せば、この凄い人通りを相手に商売が出来るんですよ。凄い立地だと思いませんか。」
「おまけに、この近くには店がありません。競合なしで商売出来る素晴らしい立地です。」
「前にあった店が営業を止めてしばらく経ちますが、残っている什器は、そのまま使って貰って大丈夫です。初期投資が抑えられる、素晴らしい物件だと思います。」
この不動産業者も口は立つようです。
今度は、時間がなかった為、最後まで見届けることは出来ませんでした。しかし、夫婦はかなり気に入って物件を見ていたようでした。
先ほどの物件と同じように、知り合いに値段を聞いてみた所、こちらの物件の賃料は、安めの予想でした。
さて、この2つの物件、似ている点がありました。
・人通りはある(多い)
・居抜きで店の設備がそのまま使える部分がある
など。
かなり限られた情報しかない中での推測ですが、それでも、私は、「出店しても直ぐに駄目になるだろうな」という物件が解ってしまいました。
そして、その物件を薦めている不動産業者に対して、「商売は上手いが、こういう業者とは取引したくないな」という印象を持ちました。
もちろん、その理由は、私と同じように「この物件を選ぶと失敗する」という事が解っているのに、素人の客に巧妙に勧めているのではないか、と思われたからです。
いや、もしかすると、本契約の前に、しっかりと客に説明はするのかもしれません。そうであって欲しいと思います。
さて、仮に、皆さまが出店希望者で、この2つの物件から自由に選べるとしたら、どちらの物件と契約されますか?
もちろん、ここに書かれた情報だけで答えを出す事は難しいでしょう。
であれば、それぞれの物件を見に行った際、不動産業者に対して、どんな質問をされますか?
そして、その質問に、不動産業者がどんな回答をしたら信用されますか?
今回のブログは、「皆さまなりに、納得出来る答えを考えてみて下さい」という趣旨です。
日頃、こうした検討から縁遠い方にとっては、「頭を使う体操として楽しんで頂けるかな」と思って、ブログにしてみました。
少しは面白く感じて頂けると嬉しいのですが。
なお、答えはここには書きません。そもそも、「不動産業者とのやり取りをどのように組み立てるか」という点については、回答者の数だけ答えがあって良いはずです。
なお、不動産という商品は、「売り手」と「買い手」で、持っている情報に大きな差がある商品である、と言われています。
それだけに、不動産業者には、買い手に対して誠実であって欲しいと思いますし、また、買い手にも、できる限り賢くなって欲しいと思います。
私が見かけた2組の買い手候補は、どちらも、人の良さそうな夫婦でした。
あの2組が店を出せば、恐らく、商売の関係者からは仲良くして貰えることでしょう。何の商売をするのかは解りませんでしたが、常連のお客さんが付くかもしれません。
しかし、その前に、彼らには、「不動産の契約」という一大イベントに対応する為に、キチンとしたアドバイザーを見つけて欲しいところです。