ビジネスコンサルティングの現場から

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仕事のストレスを減らす方法は?世界8カ国の調査結果を紹介

仕事のストレスを減らす方法

社会人であれば、仕事のストレスが全くないという人はいないと思いますが、

仕事のストレスは、どうすれば減らせると思いますか?

という質問への回答は、人によってかなり差が出るのではないでしょうか。

今日は、その仕事のストレスに関する調査を世界8カ国で行った結果を見つけましたので、ご紹介させて頂きたいと思います(対象は現場労働者)。

※調査対象の国は、日本、英国、ドイツ、オーストラリア、米国、ブラジル、インド、メキシコの8ヶ国。


最初に、ちょっとショッキングな結果を。

そもそも、

「貴方の仕事のストレスは、今後、なくなりそうですか?」

という質問があった場合、

「今後、改善していくとは思う」

といった内容の回答を期待したいところです。

ところが、日本では、84%の人が、

「今後も仕事のストレスが減るとは予想できない」

という回答をしています。

そして、この割合は、調査した8カ国の中で最悪です。

2位の英国との間で15%も開いています。


日本は、仕事のストレスという観点からは、あまり良い国ではなさそうです。

もしかすると、「現状が改善するとは思えない」という状況で労働者が働き続ける事が当たり前になっている国なのかもしれません。

しかし、限度を超えた仕事のストレスは労働者の生産性を落とす事が多いと言われています。

経営者(雇用主)の側でも、

「どうすれば、自社の労働者の仕事のストレスを減らせるのだろうか?」

という改善活動に取り組んで頂きたい所ですし、

労働者の側でも、

「どうすれば、自分の仕事のストレスを減らせるのだろうか」

と考え、自分で出来る事はやってみる姿勢を大切にして欲しいところです。


では、仕事のストレスは、どうすれば減らせるのでしょうか。

ここからは、労働者自身が、

「何が自分の仕事のストレスを減らすのか?」

という事について回答した結果をご紹介しましょう。

残念ながら、国別のデータがないので、8ヶ国トータルでのランキングとなります。

まず、4位以下について。

4位 より柔軟なスケジュール 45%
5位 自部門の人員増強 44%
5位 上層部とのコミュニケーション改善 44%
7位 休憩 40%
8位 育児環境の改善 38%
8位 健康に関する福利厚生 38%
10位 カウンセリングサービス 36%
10位 裁量権のある仕事 36%
12位 仕事の責任軽減 33%

「なるほど」と思う理由もあれば、「それを挙げるのか」と思うような理由もあったのではないでしょうか。

もちろん、この結果が貴方の職場でも当てはまるとは限りません。

しかし、この結果をご覧になって、「そんな事が仕事のストレス軽減に役立つのか!」という感想をお持ちになった方は、ぜひ、自社でも同様のアンケートをされてみてはいかがでしょうか。

やはり、改善は、現状の把握から始まりますので。


さて、では、1位~3位について。

1位 給与が増える事 64%
2位 有給を取る事 50%
3位 より良いテクノロジーで仕事を簡単にする事 46%

これがトップ3となっています。

この結果だけでは解らない事もありますが、色々と考えさせられる結果ではあります。

まず、1位が給与という結果については、「身も蓋もないな」と思ってしまわずにはいられません。

やはり、貰えるお金が多ければ、多くの問題は解消してしまうのでしょうか。

2位の有給についても、納得ではありますが、同時に、「未だに、有給を十分に消化できていない労働者が多いのだろうか」などとも考えてしまいますし、もし、絶対的な休日の数が不足しているのであれば、「週休3日制」などの導入効果も検討したくなります。

そして、最後の3位のテクノロジーですが、こちらは、そのまま受け取る訳にはいきません。

この対策、労働者としては、

「もっと仕事のやり方が改善できるはずだろう!」

と思って挙げているケースが多いのではないでしょうか。

他社で、様々なツールが導入されているのを見て、自社と比べ、不満を持っている労働者が多かったのかもしれません。

しかし、その一方、実際に新しい技術を導入しようとすると、その導入が労働者のストレスになる事もありますし、そもそも、導入が失敗してしまう事もあります。

あくまで、「労働者のストレスが減るような技術導入を、うまく行って欲しい」という、かなりレベルの高い希望であると考えた方が良さそうに思います。


以上が調査結果となりますが、皆さまの感覚とは一致していましたでしょうか。

労働環境の改善に係わる立場の皆さまには、ぜひ、様々な対策を考えるきっかけにして頂ければ、と思います。

 

※上記のデータは、マイクロソフト社が2021年10月から11月にかけて8カ国9600人の現場労働者に対して行ったWork Trend Index Special Report surveyの結果より。対象の国は日本、英国、ドイツ、オーストラリア、米国、ブラジル、インド、メキシコの8ヶ国。日本語は筆者による訳です。原文は次のURLから参照して下さい。
https://www.microsoft.com/en-us/worklab/work-trend-index/technology-unlocks-a-new-future-for-frontline