皆さまは、誰かに、
「空飛ぶ車が、既に実現している」
と言われたら、どのような印象を持たれますか?
もちろん、何かのジョークのような話ではなく、本当に、「ある所からある所まで、人が乗った車が飛ぶ」という事が実現できる「空飛ぶ車(クルマ)」の話です。
漫画やSF映画などでは昔から登場するアイテムですし、私も、「生きているうちには、空飛ぶ車が実現するのかもなぁ」くらいには思ってきました。
実は、先日、ある人から、
「もうすぐ、空飛ぶ車の実用化実験が行われるよ」
という話を聞きました。
私としては、
「どうせ、小型の模型での試験か、ちょっと浮き上がるだけの試験なんだろう」
と思っていました。
しかし、つい先日、その実験結果の一つが発表されました。
スロバキアのKlein Visionという会社の試作機が、ある都市からある都市までの70キロを35分で飛行する実験に成功したのだそうです。
日本のテレビなどでも報道されたようですので、既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、ご存じない方は、動画を見て頂くのが早いと思います。
動画を見る限り、羽のついた車が本当に飛んでいます。
パイロットも乗っていますし、特別な装備すらなく、普通に運転するかのように飛行しています。
そして、自力で着陸。その後、羽などの装備を畳み、そのまま一般道を運転する風景まで写っています。
ちょっと大型の車ですが、確かに、「空飛ぶ車」が実現しています。
そして、このメーカー、既に142回も着陸実験を成功させているのだそうです(都市間移動の実験は、今回が始めてのようです)。
正直、かなり驚きました。
これは、「実用化実験」と言って差し支えないレベルだと思います。
もっとも、この車は、いわゆる「飛行機型」なので、離陸や着陸には滑走路が必要なようです。
この為、日本で普及するとは私は思いません。
しかし、国土が広く、車移動+飛行機移動で目的地に向かうのが当たり前になっている国においては、今後、「自家用車で飛んでいく」という未来は、意外と早く普通の光景になるのかもしれない、と思いました。
ちなみに、日本ではどうか?という事ですが、日本でも開発は進んでいます。
ただし、日本で実用化が期待されているのは、このような飛行機型ではなく、「垂直離着陸型(VTOL)」です。
すなわち、地面(道路や駐車場)から真上に飛び立ち、そのまま飛行、目的地で地面に垂直に降下するタイプの空飛ぶ車です。
日本で開発を進めているスカイドライブという会社が、人を乗せた状態での4分間の浮遊(ホバリング)の実験には成功しています。
そして、日本でも空飛ぶ車は、意外と早く実現するのかもしれません。
と言いますのは、実は、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)で「空飛ぶ車を運用する」という事が検討されているそうなのです。
報道によると、井上信治万博担当大臣が「万博までに実用化し、(空飛ぶ車で)関空や神戸空港から万博会場に来場してもらうことも考えている」と発言しています。
そして、経済産業省が事務局となって、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」の設置も決まっています。
間に合うかどうかは別として、2025年という、そう遠くない時期の実用化に向けて、真剣に検討が進んでいるようです。
以上、今日は、個人的に衝撃を受けた「空飛ぶ車の状況」について、取り上げさせて頂きました。
これまで、「トヨタがウーバー系列の会社から空飛ぶクルマ事業の買収を検討している」といったニュースには接していても、「将来の為に、そういった所にも投資をしているのだなぁ」という位にしか思っていませんでした。
世の中の風景は、思っている以上に、急激に変わっていくのかもしれません。
※本文中でも取り上げているスカイドライブ社が、2025年に国際博覧会(大阪・関西万博)で空飛ぶクルマ「SD-05」を実用化。2026年にアメリカのサウスカロライナ州で就航(空港と市街地の間の運航)を目指すと発表しました。(2023/1/27追記)
※日本初となる空飛ぶクルマの商用飛行を目指す2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の運航事業者に、ANAホールディングス、日本航空、ジョビー・アビエーション、スカイドライブ、丸紅の5社が内定したそうです。また、万博会場内の離着陸場はオリックスが運営するそうです。(2023/2/16追記)