ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

ギリシャ文字の名前が付いた新型コロナ変異株は何種類?一覧と理由

変異株とギリシャ文字

新型コロナウイルスの変異株が「インド型」や「英国型」といった名前ではなく、「デルタ型」のようなギリシャ文字で呼ばれる事があるのに気付かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、この「変異株のギリシャ文字の名前」については、あまり整理された情報がないように思います。

そこで、今日は、

・変異株がギリシャ文字で呼ばれるようになった背景(理由)

・日本ではマイナーな変異株について(実は、イプシロンやシータなどの変異株も既に存在しているのです!)

・ギリシャ文字が既に割り当てられてられている変異株の一覧(発生確認国・時期)

といった内容について、紹介させて頂きます。

※WHOがミューをVOIに分類した事を受けて、ミュー(μ)に関する記載を追記(2021/09/01更新)

※WHOがオミクロンをVOCに分類した事を受けて、オミクロン(ο)に関する記載を追記(2021/11/28更新)

変異株がギリシャ文字で呼ばれるようになった背景(理由)

変異株がギリシャ文字で呼ばれるようになった背景(理由)ですが、端的に言ってしまうと、「WHO(世界保健機関)が、そう呼ぶように決めた(推奨する事にした)から」です。

理由は、国の名前を付けて呼ぶと、特定の国や民族への差別的な扱いとなる可能性がある為。

なお、研究者の間では、変異株は「B.1.1.7」といった名前で認識されています。

しかし、このような名前は覚えづらく、メディアなどでは使いづらい。

この為、国名以外で使いやすい名称を考えた所、「ギリシャ文字を主要な変異株に割り当てる」という方針が決まったようです。

ギリシャ文字が割り当てられている変異株の一覧(発生確認国・時期)

以下が、現在、確認できているギリシャ文字が割り当てられている変異株の一覧となります。

ギリシャ文字(読み方) 最初に確認された国 時期
アルファ(α) 英国 2020/09
ベータ(β) 南アフリカ 2020/05
ガンマ(γ) ブラジル 2020/11
デルタ(δ) インド 2020/10
イプシロン(ε) 米国 2020/05
ゼータ(ζ) ブラジル 2020/04
イータ(η) (複数国) 2020/12
シータ(θ) フィリピン 2021/01
イオタ(ι) 米国 2020/11
カッパ(κ) インド 2020/10
ラムダ(λ) ペルー 2020/12
ミュー(μ) コロンビア 2021/1
オミクロン(ο) (複数国) 2021/11

※WHOの資料(https://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/)をもとに著者作成。


既に、結構な数になりますね。

ご存じなかった変異株の名前もあったのではないでしょうか。

ギリシャ文字が付かない・有名にならない変異株がある理由

ウイルスは増殖や感染を繰り返す中で変異します。新型コロナウイルスについても、一定の頻度(2週間程度で1カ所程度という説あり)で変異していると考えられます。

ですから、発生から時間が経ち、かつ、多くの人が感染した新型コロナウイルスの場合、既に多くの変異株が存在しています。

そして、前述の通り、研究者は、「B.1.1.7」や「AY.2」といった名前を変異株に付けており、その変異を認識できるようにしています。

しかし、その多くに、ギリシャ文字は付けられていません。

ギリシャ文字が割り当てられていない変異株がある理由は、「特に注意すべき変異株にのみ、ギリシャ文字を付けているから」です。

より具体的には、変異株は、リスクを評価した結果によって、「Variants of Concern (VOC、懸念される変異株)」と「Variants of Interest(VOI、注目すべき変異株)」に分類される事があります。

そして、これらの高リスク変異株(VOCやVOIに分類されたもの)について、一般の人にも注意して貰う為、また、会話や報道の際に便利なように、ギリシャ文字が付けられている訳です。


ちなみに、ギリシャ文字が割り当てられている変異株のうち、VOCとVOIに割り当てられている変異株は、以下の通りです。

Variants of Concern(VOC、懸念される変異株)に分類されている変異株:アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、オミクロン(ο)

Variants of Interest(VOI、注目すべき変異株)に分類されている変異株:ラムダ(λ)、ミュー(μ)

※イプシロン(ε)、ゼータ(ζ)、イータ(η)、シータ(θ)、イオタ(ι)、カッパ(κ)は、現在、VOCやVOIからは外れています。

※ギリシャ文字が割り当てられていないその他の変異株についても、WHOが要観察としている変異株は存在します。


ギリシャ文字の名前のついた変異株についての解説は、以上です。


ちなみに、ギリシャ文字は24個しか無いのですが、それを使い切った後の方針については、特に情報がありません(未だ決まっていないのだと思われます)。

24個のギリシャ文字を使い切る前に新型コロナウイルスの流行が終息する事を願って、このエントリを締めさせて頂こうと思います。

※オミクロン(ο)が命名される際、ミュー(μ)の後に続くギリシャ文字であるニュー(ν)とクサイ(ξ)は飛ばされました。この為、24個全てのギリシャ文字は使われない見込みです(WHOは「発音が似た英単語との混同や人名を避けるため」と説明)。