今日は、
「なぜ、スタバではなく、タリーズの方が商業施設の良い場所にあったり、オフィスビルに入っていたりする事があるのか」
というお話を。
当社関係者のAさんは、スタバの大ファンです。
そのAさんから、以下のような質問が出ました。
「なぜ、○○(商業施設の名前)の一番良い場所に、スタバじゃなくてタリーズが入っているの?」
別にタリーズが入っていても良いと思うのですが、スタバが一番と思っているAさんにとって、スタバではなくタリーズが入っている事は許せない事のようです。
さらに、Aさんからは、こう続きました。
「この前行ったオフィスビルでも、タリーズが入っていた。どうして?」
確かに、面白い視点だとは思ったので、そこにいた人達で、「タリーズの強みとは?」というテーマで議論して貰う事にしました。
それに、私が情報を追加して、「4つのタリーズの特徴」としてまとめたのが、今日の内容です。
カフェに興味がある方(特に、カフェの経営に興味のある方)は、ご自身なりに考えた後で、読み進めて頂くと面白いと思います。
特徴(強み)①:タリーズの方が実力が上の面がある
まず、カフェチェーンに詳しくない人から出たのが、
「タリーズの方が人気があるから、良い場所に入っていたり、多くのビルに入っているのでは」
という意見。
しかし、この意見、Aさんからは猛反発が出ました。
手元にデータはないものの、「スタバの方が明らかに人気がある」というのです。
私の感覚でも、どちらが上かはともかく、「タリーズの方が明らかに人気がある」とは思えませんでした。
しかし、この意見を少し変えて、
「少ない売上でも店舗を成立させる力が、タリーズの方が上である」
とするならば、あり得るかもしれません。
もし、これが正しい場合、スタバが出店できない場所にも、タリーズが出店できる可能性はあるでしょう。
特徴(強み)②:タリーズの方がフードが揃っている
次に、オフィスビルのタリーズに行く事が多いBさんからは、
「タリーズじゃないと、ランチができない」
という意見が出ました。
ユーザー目線とはいえ、これは、なかなか鋭い意見です。
スタバもフードに力は入れているものの、本格的な「食事」と言えるものは、私が知る限り、用意されていません(サンドイッチ的なものはあります)。
これに対して、タリーズではパスタメニューが用意されています(他に、ホットドッグなどもあります)。
これは、「企業のメニュー開発力の違い」といった話ではなく、「コンセプトの違い」によるものなのでしょう。
恐らく、スタバでは、「食事を提供する事による雰囲気の変化」や「ドリンクとの相性」などを考えて、タリーズと同じようなフードメニューは提供していないのだと予想されます。
しかし、オフィスビルなどでは、ランチや軽食のニーズがあり、施設内にカフェを入れるのであれば、
「食事ニーズにも応えられる店を入れたい」
という考え方で、カフェチェーンを選ぶ可能性はあります。
特徴(強み)③:客層がタリーズの方がビジネス寄りである
経営に詳しいCさんから出たのは、
「スタバとタリーズの客層は違うので、スタバを入れたくない場所(施設)もあるのでは」
というものでした。
この意見も、かなり鋭いと思います。
スタバの主力顧客層の一つは、「女子学生」です。
それも、かなり若い層が含まれています。
オフィスビルの中の店舗では、「ビジネスの打ち合わせができる場所」としてカフェを入れている場合があります。
そのような場合には、若い学生が多く来て、雰囲気が崩れる事は歓迎されないかもしれません。
また、「スタバよりタリーズの方が入りやすい」と感じている客層が一定数いる事も間違いありません。
そういう意味でも、場所によっては、タリーズを積極的に選ぶ施設オーナーがいるかもしれません。
また、高度な検討をしている商業施設であれば、客層に合わせて、「この場所にはスタバ、こっちの場所にはタリーズ」などと使いわけている可能性もあります。
特徴(強み)④:タリーズにはフランチャイズ制度があるから
ここまで3点、なかなか面白い意見が出ました。
そして、最後にもう1点、忘れてはいけないタリーズの特徴は、
「タリーズにはフランチャイズ制度がある」
という事です。
これは、経営というより起業の視点がないと、気づき辛い違いだったかもしれません。
しかし、このポイント、実は、かなり重要です。
貴方が商業施設(例えば、ショッピングモール)のオーナーだったとします。
そして、どの場所に、どのようなテナントを誘致するかは、貴方が自由に決められるとしましょう。
さらに、貴方は、その商業施設内で「自分でもカフェを運営したい」と思っていたとします。
さて、もっとも稼げそうな場所(良い立地)に、貴方は「自分が運営する店舗」と「自分が運営しない店舗」のどちらを入れようと思いますか?
もうお解りですね。
フランチャイズ制度がないカフェチェーンの店舗を自分で運営する事は出来ませんが、フランチャイズ制度があるカフェチェーンであれば、そのカフェ店舗を自分自身が運営し、利益を自分のものにする事が出来る訳です。
そして、スタバにはフランチャイズ制度が、原則、ありません。
ですから、「自分で運営したい」と考えている施設オーナーにとっては、スタバよりタリーズの方が魅力的に見える事もあるのです。
以上、4つのタリーズの特徴(強み)が挙がりました。
なお、実際には、様々な事情が関係して、出店するカフェチェーンは決まっています。
どれか一つの理由だけで決まっている訳ではありません。
しかし、このような裏側が推察できるようになると、商業施設のフロアマップを見るだけでも楽しい時間が過ごせそうですよね。