ビジネスコンサルティングの現場から

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今でも電車の優先席付近で携帯電話(スマホ)の電源は切るべき?

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皆さまは、「混雑時の電車の優先席付近においては、携帯電話(スマホ)の電源をOFFにしないといけない」というルールをご存じでしょうか。

今日は、この件に関して、ちょっとした問題提起を。


最初に、電車の優先席付近での携帯電話(スマホ)利用に関するルールをまとめておきます。

ご存じの方も多いと思いますが、ルールは時代と共に少し変化しました。

まず、最初に出来たルールは、「電車の優先席付近では携帯電話(スマホ)の電源をOFFにする」というものでした。2003年頃の話です。

このようななルールが出来た背景には、「携帯電話(スマホ)が出す電波によって、ペースメーカーなどの機器が誤作動する可能性がある」という理由があると言われています。

そして、ペースメーカーの誤作動は命にかかわりますので、しっかりとしたルールが策定される事になった模様です(他に、マナー面からの理由もあったようです)。

しかし、その後、携帯電話が出力する電波の強さが弱くなり(第2世代→第3世代)、更に、ペースメーカーなど医療機器側の対策も進みました。

その結果、「電車の優先席付近では、混雑時には携帯電話(スマホ)の電源をOFFにする」というルールに変わりました。2015年頃の事です。

そして、電車の優先席付近での携帯電話(スマホ)の利用に関するルールは、現在、この状態です。

ですから、現在では混雑時に限ったルールとはなりますが、本来、電車の優先席付近では、携帯電話(スマホ)の電源は切るべきなのです。

※携帯電話(スマホ)の利用ルールは、鉄道会社によって、多少、差があるようです。


しかし、実際に電車の車内を観察してみると、混雑時であっても、電車の優先席付近で携帯電話(スマホ)を操作している人は多いように思います。

もちろん、電波を出しながら使っているのかどうかまでは解りませんが、ルール上で定められて言うのは、あくまで、「混雑時の携帯電話(スマホ)の電源OFF」です。

ですから、現状は、かなりの割合の人が「ルールを守っていない」という状態です(厳しい言い方をすれば、ルールは有名無実となっていると言えるでしょう)。


では、本当に、このルールは守るべきなのか。

前述の通り、ペースメーカーが誤作動する危険性は、かなり低い模様です。

誤作動させる為には、かなり近い距離から、かなり強力に電波を出力させないといけないようです。

実験によると、「携帯電話(スマホ)がペースメーカーから3センチ以上離れていれば誤作動は起きない」という結果も出ている模様です。

もちろん、そのような事故が実際に起きたという話も耳にしません。

多くの人も、そのような事実を何となく理解しているからこそ、あまり気にせずに携帯電話(スマホ)を利用しているようにも思います。

であれば、なぜ、ルールは変わらないのか。

やはり、万一の事を考えると、鉄道会社側としてはルールを撤廃したくないのでしょう。


では、ルールが変わらない事によって、一番、被害を被るのは誰か。

それは、「本当に、近くで携帯電話(スマホ)を使われては困る人」だと思われます(そのような人が本当に存在するのかどうかは解りませんが)。

ルールが有名無実となり、誰も守らなくなると、結局、本当にルールを必要としている人が困ります。

ですから、そのようなルールを何となく残すくらいであれば、本当にルールを必要としている人が救われるようなルールに変更した方が良いのではないか、と思うのです。

例えば、基本的には、携帯電話(スマホ)の利用は自由だが、本当に近くで携帯電話(スマホ)を使われては困る人が乗車する場合には、その人の負担が最小限で済むかたちで、まわりに意思表示が出来るようにする。

そして、その場合には、本当に、携帯電話(スマホ)が使われないように、強く強制する、など。

そうでないと、何となく残っているルールには、何の意味もないはずなのです(何かあった場合に電鉄会社側が言い訳に使える程度)。

※真面目にルールを守り、携帯電話(スマホ)の電源をOFFしている人も被害者と言えなくはないのですが、優先席付近以外に移動すれば、ルールを守りながら携帯電話(スマホ)は使えるので、実質的な被害はないものとします。


そして、この問題、今、ちゃんと取り組まないと、今後、マスクに関するルールが変化する中で、より深刻な問題になっていくように思うのです。

電車内での携帯電話(スマホ)利用については、実際には被害者(本当に周りに電源OFFしてもらわないと困る人)がいない可能性は十分にあります。

しかし、マスクについては、そうではないでしょう。

マスクについては、「本当にマスクを着用してもらわないと困る場面」は残る事でしょう。

しかし、マスクが自由化された場合、今後、マスク着用のルールを気にしない人は増えていくように思います(実は、今でも着用が本当に強制されるケースは稀なのですが)。

そして、「マスクを着用して下さい」という張り紙は、今、あまりに多く存在しています。

この為、「本当にマスクを着用しないといけない場所」と「もう、マスクは着用しなくても良い場所」が混在してしまうように思うのです。

ですから、皆が本当に守るべきルールを守る為にも、撤廃できるべきルールは撤廃し、本当に必要なルールだけを残していく(または、守るべきルールに変えていく)という事は必要な事であるように思うのです。