新卒者の就職先(就職する企業)について相談を受けた際、
「社会人経験が長いからこそ出来る、就職先についてのアドバイスがある」
と思う事が何度かあったので、今日は、その話を。
あまり頻度は高くないのですが、
「自分の子供が複数の内定を持っているが、就職先はどこにするべきか?」
といった相談を受ける事があります。
こういった質問をする親御さんの多くは、
「自分の子供が就職する会社の将来性は大丈夫だろうか(潰れたりしないだろうか)」
という事を気にして質問されているケースが非常に多いです。
そもそも、子供の就職先に親が関与するなんて…と以前は思ったものですが、大学関係者に聞いてみると、今は、親が関与する家庭が多いのだそうです。
それはさておき。
相談を受けた場合、個別の企業情報については、解る限りでお伝えしますが、正直、
「新卒で入った企業の将来なんて、誰にも解らないのに…」
と思いながら、相談にのっています。
もちろん、最初に入る会社の選択は、その人に大きな影響を与えます。
しかし、以前と比べれば、企業の将来性については、そこまで深い分析は必要なくなっている(しても仕方がない)ように思います。
それよりも、「『職場の環境』や『職場で求められるもの』が、その人と合っているかどうか」といった事の方が大事なように思います。
そして、その程度の判断をする為の情報収集や分析は、本人もしている事が多いでしょう。
ですから、最近は、
「今の時代、最初の就職先に、子供さんがいつまでいるか解りませんよ」
「子供さん自身が、企業研究をしっかりされているでしょうから、その結果を信じてみてはどうですか?」
と正直にお伝えするようにしています。
ただ、最近、転職が一般的になった時代だからこそ、「周囲が(特に、社会人経験が長い人が)アドバイスしておいた方が良いかもしれない」と思う点があります。
それは、
「転職しやすい業界(会社)と、転職し辛い業界(会社)はある」
という事です。
社会人経験が長くなると、外部の人材評価に関係する機会は増えます。
特に、外部から企業に携わる立場で仕事をしていると、様々な立場で採用に携わる機会があります。
人を送り出す側の立場の際には、転職活動で面接を受けに行った人から、
「○○業界の人は、あんまり採りたくないんだよね」
と言われた、といった話を聞く事もあります。
逆に、採用する側の立場で仕事をした時には、
「○○業界で○年やっていたのであれば、うちの業界でもやっていけるはず」
といった、業界経験を評価する会話に直面する事もあります。
社会人採用の際には、「前職での仕事内容(経験)」が評価される事になりますが、その際、「どの業界にいたのか」という点は、評価において重要な要素となる事があるのです。
「今時の学生」は、しっかりと企業研究をしている事が多いようです。
また、親しい先輩などに相談をして、業界や会社の情報を得ている事も多いようです。
しかし、彼らの立場では、まだ、「採用する側の立場で考える」という事までは十分に出来ていない事が多いようです。
結果、「転職する際に、転職先の企業から、どのように見られるのか」という視点は、学生の分析からは抜けている事が多いようなのです。
もちろん、学生に、そのような分析を強く勧めるつもりはありません。
転職の事など考えず、最初に入った会社で、まずは全力で仕事をしてみて欲しいと思います。
しかし、もし、本人が「就職先の選択で悩んでいる」という状況なのであれば、「転職を踏まえたアドバイス」を、その選択の為にしてみるのは、本人にとって有益であるように思います。
そして、それは「社会人経験が長いからこそ出来るアドバイス」であるように思うのです。
なお、ご自身で、どの業界が転職し辛いか解らない方は、会社員であれば、ご自身が所属する人事部の採用担当に相談してみると良いかもしれません。
少なくとも、ご自身が所属されている会社で、「評価する業界」と「評価しない業界」くらいの情報は得られる可能性が高いと思います。
もちろん、転職が当たり前になっているのは、若年層だけではありません。
ですから、この視点で、自業界(自社)を常に意識しておいた方が良いのは、年配者であっても同じです。
学生の就職先についての相談にのるという事は、意外と自分のキャリアを見直す良いきっかけにもなるように思います。