ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

セブンペイの謝罪記者会見の良かったところを、あえて指摘する

セブンペイの社長と担当者が謝罪の記者会見をするイメージ


少し前になりますが、セブンペイが問題を起こし、サービス中止に追い込まれました。

この時の謝罪会見を覚えていらっしゃる方も多いと思います。

二段階認証を知らない(と疑われてしまった)など、色々と突っ込みどころのある記者会見でしたが、この謝罪会見、悪い所ばかりではなかったと思うのです。

ワイドショーなどでの報道が一段落した今だからこそ、少し取り上げてみたいと思います。

セブンペイの社長が謝罪した記者会見で評価されても良いと思った点

さて、最初に、結論を書いてしまいましょう。

今回のセブンペイの謝罪会見において、会社側が褒められても良いと思った点。それは、

「この会社が、セブンペイの問題に関する責任を、他社(他人)のせいにしなかった」

という点です。

もしかしたら、そういう部分があったのかもしれませんが、総括している報道を確認する限り、そうした発言があった事は確認出来ませんでした。

当たり前だと思われますか?

であれば、この後も、ぜひ、お読み下さい。

他の謝罪会見とセブンペイの謝罪会見との比較

先ほど、セブンペイの謝罪会見において、「責任を他社(他人)のせいにしなかった」点を評価しました。

お読みの方は、「問題を起こした会社なんだから、当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんね。

しかし、実は、そうでもないのです。

といいますのは、このようなサービスを支えるシステムを、「その会社だけで作って提供している」という事は、まずないのです。

すなわち、今回、問題をおこしたセブンペイのシステムの中身も、実は、他の会社が作って、提供している可能性が高いのです。

解りやすく言い替えると、他の会社から買ってきたものを使ってサービスを提供したら、その買ってきたものに問題があって、お客様に迷惑をかけ、お客様から怒られている、という状況である可能性も高いのです。

それでも、サービスを提供した会社が悪い?

その通りです。今回の問題でも、セブンペイを提供していた運営会社は責任を負うべきであり、その点について、疑いの余地はありません。

しかし、ちょっとイメージしてみて頂きたいのですが、スーパーで買ってきた商品に問題がある事が後で解ったとして、皆さまは誰を責めますか?

もちろん、そのスーパーを責める、という方もいらっしゃるでしょう。

しかし、商品の種類にもよるでしょうが、「スーパーは陳列しただけだから…」という考え方をして、「そもそもの商品を作った側を責めたい」という気持ちになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その考え方にも、一理はあるのです。すなわち、運営会社側も、「被害者」という側面がある事には、気づいて頂きたいと思います。

他の謝罪会見とセブンペイの謝罪会見の比較

そして、別の事例ですが、思い出して頂きたい謝罪会見があります。

実は、消費者に問題のある商品を提供しておいて、その原因が自社の仕入先にあったからといって(まさしく、先ほどの例ですね)、

「○○(自社)は被害者」

と発言した謝罪会見が、実際にあったのです。

社名はここでは避けさせて頂きますが、某超大手ファストフードチェーンです。

もし、どの事件か思い出せない方は、「ファストフード 謝罪会見」などのキーワードで検索して頂ければ出てくると思います。

ちなみに、この会社は、この当時、他にも様々な問題を起こしていましたが、社長が謝罪会見に出てこない、といった点でも非難を受けていました。

その社長の立場からすれば、「自社は騙された」「自社こそ被害者」なのかもしれませんが、消費者からすれば、とんでもない話です。

消費者に提供する商品の品質については、その会社が責任を負って当然ですし、そうでなければ、怖くて、その会社から購買など出来ません。

この謝罪会見と比較して貰えれば、セブンペイの謝罪会見の「良心さ(という言葉が適切かどうかは怪しいですが)」に気づいて頂けるのではないでしょうか。

今回のセブンペイの問題から経営者が学ぶべき点

最後に、経営者向けに、教訓をまとめて、今回のブログを終わります。

どの会社も、様々な会社と取引をして商売を行っています。そして、その一つ一つの取引について、相手を信用して取引を行っていることでしょう。

特に、昨今はサプライチェーン(仕入れの相手の連鎖)も複雑になっており、付き合いのある他社を全てキチンと管理する事も難しいでしょう。

「丸投げしてしまえば良い」というような声を聞く事もありますし、そもそも、今回のセブンペイのような複雑な仕組みを外注する場合、自社では品質管理をするのが難しすぎて、「丸投げするしかない」というような感覚をお持ちの経営者もいらっしゃるように思います。

しかし、もし、「その相手から仕入れたもの」や「その相手に作って貰った仕組み」といったものに問題があった場合、自社の顧客に対しては、「自社の責任として、対応しないといけない」ということだけは、忘れないようにして頂きたいと思います。

くれぐれも、「他社の責任だから、自社は知らない」という考え方はしないで下さい。

もちろん、その会社に責任を追及する事は可能でしょう。しかし、それは、顧客とは関係ないところで行われるべき話です。

何か問題が起きた場合には、自社が開くことになる記者会見で、経営者自身が「自社の問題です」と言えるのかどうか?

その責任感を忘れずに、日々の業務に向き合って頂きたいと思います。