ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

新型コロナでファミレスとホテル内レストランの復権は実現するか?

ホテル内レストラン ファミリーレストラン 復権

今日は、

ファミレスやホテル内レストランは、新型コロナ時代に復権できる可能性がある

というお話を。

なお、飲食店(レストラン)の関係者の方には、

ファミレスやホテル内レストランは、今、復権せずに、いつするのだ?

という視点で読んで頂きたいとも思います。


新型コロナウイルスが生活を変えてから、半年が経とうとしています。

「どの位、気にして生活しているか?」は、人によって本当に様々なようです。

しかし、少なくとも、「感染を、かなり恐れながら生活している人達(私を含む)」にとって、以前と生活は大きく変わってしまいました。

そして、そのような人にとっては、「日常の楽しみを行う上での判断の基準」も変わりました。

その一つが、「レストラン(飲食店)選び」に関する判断基準です。

ご存じの通り、「安全と思えるかどうか」を大前提として飲食店を選ぶようになった人が増えたのです。

以前は、「店内が密集していて、ワイワイガヤガヤしている」という店について、「それはそれで楽しい」と感じ、また、そういう店は価格帯も低い(安い)事が多いので重宝していた人も、「密集している飲食店は嫌だ」となってしまいました。

しかし、少なくとも東京の地価は高く、「十分に客席の間のスペースをとっている店」というのは少ないのが現実です。

最近は、大手企業がオープンさせる店であっても、「狭い店」が増えてきていました。


また、以前とは違うレベルで、クレンリネス(清潔な状態が保たれていること)について気にする人も増えました。

いくら、「当店では、コロナ対策をしています」と言われても、なかなか信用出来るものではありません。

以前よりも、「(その店に入る前に)その店を信用できるかどうか」が問われるようになった、とも言えるでしょう。


さて、このような判断基準の変化(価値観の変化)が起こった場合には、どういった店が評価される事になるのでしょうか。


いくつかポイントはあると思いますが、

まずは、

目先の経営効率(売上げなど)よりも、『信頼度(信用)』というものを大事にする考え方を貫いていると思えるレストラン

が、安心感がありそうです。

また、

床面積を効率的に使って(客間を狭い設計にして)稼ぐ、という考え方をしていない店

という条件も大事です。


しかし、この2つの条件は、どちらも急に満たす事が困難です。

後者については、席を間引けは、確かに客席間の距離は作れますが、店自体が「広々としている感じ」を容易に出せるものではありません。

単に客席を間引いただけでは、実は、客に「飲食店として快適(そこで飲食をしたい)」と思わせるような内装(雰囲気)にはならない事も多いのです。

飲食業の「稼げる内装」とは、そんなに甘い世界ではありません。

また、前者は、もっと大変でしょう。

これまでの「積み重ね」がなければ、客に信用して貰えるはずもありません。


では、どのような飲食店なら、これらの条件を満たしうるのか。

まず、

地元密着の店(または常連客の占める割合が高い店)

が挙げられるでしょう。

もちろん、これまでの運営実績が問われる事にはなります。

また、これまでの運営とは、違うコンセプトに運営を切り替えないと、対策が出来ない店もあることでしょう。

しかし、これまでの運営実績から、「あの飲食店は信用できる」と思われている店であれば、これまでとは違うコンセプトの運営に切り替えたとしても、「うちは、しっかりと対策をしています」と言った場合には、かなりの信用度となります。

これは、新規店が客の信頼を得るのと比べると、かなりのアドバンテージとなります。


それ以外の店は、どうでしょうか。

私自身が、考えた結果、真っ先に思い浮かんだのが、「ホテル内レストラン(の一部)」と「ファミレス」でした。

ホテルが客からの信頼度を大事にしている業態は言うまでもないでしょう。

値段は高めの事が多いとは思いますが、

「なんとしてでも、うちのホテルからコロナを出してなるものか!」

という気構えで運営しているホテル内レストランは、実際に多いように思います。

また、ファミレスについても、以前から客席間のスペースは広めに設計されてきたと思いますし、どのチェーンも、私が伺った限り、かなり頑張って対策をしているように見受けられました。

これまで、床面積の効率性を少し犠牲にしてきた面があったはずですが、それが、今、生きているように思います。

ちなみに、ロイヤルホストやすかいらーく(ガストなどの運営会社)、デニーズのホームページでは、コロナ対策の動画まで掲載されています。

そして、1店1店(個店)としてではなく、

「企業として、全店舗、間違いなく取り組んでいますよ」

というアピールが出来るのも、これらの業態の強みと言えるのではないでしょうか。

対策の徹底が甘ければ、「企業全体の評判が落ちる」という事態になるのを、企業側も客も解っていますから、施策については、信用が得られやすいと言えるでしょう。

特に、直営店しかないレストランチェーンは強いように思います(フランチャイズの仕組みを採用している所は、その部分の信用は少し落ちるように思います)。

勿論、他にも様々な飲食店グループが頑張ってアピールしている事も知っています。

しかし、「信頼度が得られやすい」「広い客層から受け入れられやすい」「外から見た時にも確認がしやすい」などの観点からは、この2業態に軍配が上がるように思います。

飲食全般が厳しい時代ではありますが、少なくとも、「武器」を持っている、これらの店舗には頑張って欲しいと思います。

そして、他の業態の飲食店は、ぜひ、その業態ならではのアピールを考えて頂き、集客に繋げていって頂きたいと思います。

感染者を広げることなく、かつ、飲食店にとって厳しい、この時代を乗り越える店が1店でも多い事を願って。