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最近の新型コロナ系統名はなぜXで始まる?PANGO系統命名法の概略

PANGO系統命名法 XE

新型コロナウイルスの新しい変異株の系統として、「XE」が報道されています。

しかし、この名前をみて、「あれ?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

なぜならなば、これまで、新型コロナウイルスの変異株は、「デルタ」や「オミクロン」などのギリシャ文字の名前で報道される事が多かったからです。

また、ギリシャ文字がついていない変異株の名前がある事をご存じの方でも、Xで始まる名前をご存じなかった方は多いのではないでしょうか。

この記事では、新型コロナウイルスの変異株についての命名ルールを簡単にご紹介した上で、「なぜ、新しい変異株にXEという名前がついているのか?」という点についての種明かしをさせて頂きます。


最初に、新型コロナウイルスの変異株に付けられる名前には、2つの種類がある事を知って頂く必要があります。


1つが、良く報道されている、「ギリシャ文字で表される名前」です。

これは、報道などがしやすいように、特に注意すべき変異株にギリシャ文字を付けたものです。

ですから、全ての変異株に名前が付けられている訳ではありません。

※ギリシャ文字がついた変異株については、別記事にて詳しく説明しております(リンクは本記事末尾)。


そして、もう1つが、アルファベット(英文字)と数字と点(ピリオド)で表されている名前です。

例えば、「B.1.1.7」や「AY.29」といった名前です。

これは、主に研究者が扱う名前であり、PANGO系統命名法という方式によって名前が付けられています。


PANGOはパンゴと読み、この方式による命名は、以下のようなルールに則って行われています。

・アルファベット(英文字)が先頭、その後に数字が続く。点(ピリオド)で区切る。

・アルファベットの大文字と小文字は区別しない(通常は大文字を使う)。

・アルファベットのIとOは使わない(数字の1や0と見分けが難しい為)。また、Xについては特殊な使い方をする(後述)。

・アルファベットを使い切った場合はアルファベットの文字数を増やす(Zの次はAAを使い、ZZの次はAAAを使う)。

・子孫に相当する株が生まれた場合、親の名前に点を付け、その後に数字を加えて表現する(例えば、「B.1.1.7」は「B.1.1」の子孫という意味になる)。

・点で数字を続けるのは3段階まで。4段階目以降は先頭の英語を変える(B.1.1.1の子供はB.1.1.1.1ではなく、例えばC.1のようになる)。


そして、この方式によって付けられた名前は、国際的な仕組みで管理が行われています。


このように変異株の名前を細かく管理する事で、世界中の研究者が、

・現在、どのような変異株が世の中に存在しているのか(いたのか)

・どの株は、どの株から派生した株なのか

といった事が容易に把握できるようになっているのです。


そして、PANGO系統命名法では、前述の通り、先頭のアルファベットはA,B,C…と使っていく事になっていますが、この命名法には例外があります。

それが、「組換え体」が生まれた場合の扱いです。

組換え体というのは、「2種以上のウイルス間で遺伝子の一部が組換わったウイルスが生成されて生まれたもの」であり、既に存在しているAやBなどの派生とは区別して扱う必要があります。

この為、組換え体に対しては、特別にXで始まる名前が付けられる事になっています(Xで始まる系統は、最初から予約されており、通常の変異株の発生では利用されない事になっています)。

もうお解りだと思いますが、最近、良く取り上げられる「XE」は、この組換え体の一つなのです(オミクロン株BA.1とBA.2の組替え体)。

そして、Xで始まる系統には、XEの他に、XA(B.1.1.7系統とB.1.177系統の組換え体)、XB(B.1.634系統とB.1.631系統の組換え体)、XC(B.1.1.7系統とAY.29系統の組換え体)などが既に存在しています。


ただし、XE以外の組換え体については、これまで、あまり報道されてきませんでした。

これは、ギリシャ文字の名前が付けられていない多くの変異株の報道機会が少なかったのと同じように、過去に生まれた組換え体に特に注意すべき点がなく、また、急激に広まる事もなかった為です。

これに対して、XE系統は、これまでのものよりも感染力が強くなっている可能性があると分析されている為に、注目され、報道されているのです。

以上が、PANGO系統命名法についての概略と、Xで始まる系統が存在する理由でした。


※ギリシャ文字の名前がついた変異株については、以下の記事もお読み下さい。

www.yoshida-ri-blog.com


※PANGO系統命名法や組換え体については、以下のURLの情報を参考にしております。

Rules for the Designation and Naming of Pango Lineages(PANGO NETWORK)
https://www.pango.network/the-pango-nomenclature-system/statement-of-nomenclature-rules/

オミクロン株の組換え体について(国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/11073-cepr-b11529-re.html