皆さまがお住まいの地域では、男女格差は大きいとお感じでしょうか。それとも、小さいとお感じでしょうか。
実は、男女格差の度合いを比較する為に、ジェンダーギャップ指数という指標があります。
男女格差の事をジェンダーギャップといいますが、これは、男女格差の大きさを数字化したものです。
そして、このジェンダーギャップ指数で比較すると、「世界の中で、日本は男女格差が大きい」と言われています。
そこまでは以前から知っていたのですが、「日本国内の、どの地域の男女格差が大きいのか?」という事まで踏み込んだ調査結果は、これまで目にした事がありませんでした。
今回、その「国内の男女格差の地域差(国内地域別のジェンダーギャップ指数の比較)」が掲載されている資料を見つけましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。
最初に、日本と世界を比べた場合の男女格差について。
2021年3月に発表されたジェンダーギャップ指数によると、日本は156か国中120位でした(前回の発表では153か国中121位)。
上位は、1位から順に、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデンとなっています。
ちなみに、英国は23位、米国は30位、ロシアは81位、中国は107位です(ジェンダーギャップ指数によれば、日本はこれらの国よりも男女格差が大きいという事になります)。
この指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野のデータから作成されているのですが、日本は、「経済」および「政治」における順位が特に低くなっています。
※世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2021年3月に発表した「The Global Gender Gap Report 2021」より。
オリジナルのレポート
https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2021
内閣府男女共同参画局による要約
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2021/202105/202105_05.html
このように、日本は世界の中で男女格差が大きいと評価されている訳です。
では、国内を地域別に見てみると、どのような傾向があるのでしょうか。
まず、結果をランキング形式でご紹介します(順位が上(数字が小さい)の方が、男女格差が小さい、という意味になります)。
<国内の地域別男女格差ランキング:総合>
1位 沖縄
2位 南関東
3位 四国
4位 北陸
5位 中国
6位 近畿
7位 北関東・甲信
8位 東北
9位 九州
10位 東海
11位 北海道
<国内の地域別男女格差ランキング:経済面>
1位 北陸
2位 東北
3位 九州
4位 沖縄
5位 四国
6位 中国
7位 南関東
8位 近畿
9位 北関東・甲信
10位 北海道
11位 東海
<国内の地域別男女格差ランキング:教育面>
1位 沖縄
2位 四国
3位 中国
4位 北関東・甲信
5位 近畿
6位 南関東
7位 九州
8位 東海
9位 東北
10位 北陸
11位 北海道
<国内の地域別男女格差ランキング:健康面>
1位 北関東・甲信
2位 東海
3位 沖縄
4位 北陸
5位 四国
6位 東北
7位 近畿
8位 南関東
9位 九州
10位 中国
11位 北海道
<国内の地域別男女格差ランキング:政治面>
1位 南関東
2位 近畿
3位 沖縄
4位 北陸
5位 北関東・甲信
6位 東海
7位 中国
8位 四国
9位 東北
10位 九州
11位 北海道
※北関東・甲信は「茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県」が、東海には「岐阜県、静岡県、愛知県、三重県」が、近畿には「滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県」が含まれます。
※一般社団法人九州経済連合会が2022年1月に発表した「九経連が新たに「九州ジェンダーギャップ指数」を策定」のリリースの添付資料より。指数算定に使用されたデータは、主に2020年度のもの。
https://www.kyukeiren.or.jp/files/topics/achieve/220112162728779.pdf
いかがだったでしょうか。
なかなか興味深いランキングになっているのではないかと思います。
実は、この国内の地域別のランキングは、九州経済連合会という団体が、「九州におけるジェンダーギャップの現状を見える化」する為に作成したものです。
そして、この国内版の指数を「九州ジェンダーギャップ指数(Kyushu Gender Gap Index:KGGI)」と名付けています(国別に比較したジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)の先頭に九州(Kyushu:K)を付けている訳ですね)。
指数の計算方法は、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数の考え方を踏襲しており、「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野での男女格差を指数化しています(ただし、構成要素は違います)。
そして、九州経済連合会がこの指数を算出した目的は、「ジェンダーにおける九州の日本国内での現在地を示すことにより、他地域と比べた強み・弱みを明確にして今後の課題解決に繋げます」との事。
※ちなみに、前述の通りではありますが、九州ジェンダーギャップ指数による九州のランキングは11位中9位です。
言うまでも無く、何かを変える為の活動において、現状を把握したり、目標を設定したりする事は大切なことです。
今回、活動に繋がる一歩として、このような具体的な活動を行われた事は、非常に素晴らしい事だと思います。
特に、九州経済連合会は、上記の地域別に加えて、企業別のジェンダーギャップを測る指標「九州企業ジェンダーギャップ指数」の策定も進めているそうです。
その活動結果にも注目していきたいと思います。
また、せっかく算出された結果ですので、他の地域の方にも、ぜひ、参考にして頂きたいとところです。