ビジネスコンサルティングの現場から

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家電に定価販売強制の動き!量販店と街の電気店の将来は?

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家電の関係者と話していたところ、

一部の国内家電メーカー(パナソニック)の商品について、小売店に価格指定する(定価販売を強制する)動きがある

という話を伺いました。

個人的には、衝撃でした。

小売店に価格を強制する事は、法律(独占禁止法)違反になるという理解をしており、そのような事を国内家電メーカーがするとは信じられなかったのです。

しかし、詳しい理屈までは解りませんでしたが、どうも、小売店とメーカーの取引条件を工夫する事で、「法律違反とはならずに、メーカーが小売店に価格を指定する」という事が可能になるようでした。


小売店にとっては、値引き販売がなくなれば、利益率向上に繋がる可能性があります。

この為、定価販売の強制は、小売店も歓迎する事になるかもしれません(もっとも、小売店側にメリットがあるかどうかは、メーカーが設定する利益率によります)。

そして、どの店で買っても値段が同じとなると、価格競争がなくなります。

普通に考えると、大手販売店(家電量販店など)に厳しく、小規模販売店(街の電気店)に優しい、という環境変化が起きるように予想されます。

現在の家電量販店の多くは、街の電気店が太刀打ちできないような価格設定をしている為です(それに対し、街の電気店はアフターサービスなどの面で対抗)。

では、価格競争がなくなってしまった場合、家電量販店はどうなってしまうのでしょうか

また、街の電気店には、どのような変化が起きるのでしょうか

今日は、パナソニックという家電メーカーによる指定価格制度が、日本の将来にもたらす影響について考えてみる事にしました。


特定のメーカーの家電が指定価格(定価)でのみ販売される事になった場合、4つの将来の可能性(パターン)があるように思われます。


1つ目は、結局、「価格競争は無くならない」という将来。

これは、メーカーが定価販売を強制したとしても、量販店がポイント還元率などで頑張り、結局、実施的な価格差はなくならない、という意味です。

ちなみに、今でも、一部メーカーの商品については、量販店のポイント還元率が他の商品と異なっていたりしますので、そのような対応が行われる可能性は十分にあると予想されます。


2つ目は、価格差がなくなる事によって、「価格以外の要因(アフターフォローなど)で店が選ばれるようになる」という将来。

今でも、街の家電店の多くは、このような方向性で量販店と戦っています。

ですから、このような動きが加速した場合、「街の家電店が強くなる」と安易に考えてしまいそうになります。

しかし、量販店が強くなって随分な時間が経っており、今の若い方にとっては、量販店の方が、街の電気店よりも信頼度が高い可能性も十分にあり得ます。

この為、「価格差がなくなれば、街の電気店が強くなる」と考えるのは早計です。


3つ目は、「定価販売が強制されないルートが伸びる」という将来。

メーカーと正規取引している店が価格を強制されたとしても、その他のルートで仕入れた商品(や店)については価格は強制されない(出来ない)可能性が高いでしょう。

ですから、そのようなルートでの販売が急激に伸びる可能性があるでしょう。

ネットでの販売が延びる可能性もあるように思います。


最後の4つ目は、「定価販売の強制が崩壊する」という将来。

様々な理由により、結局、メーカーが定価販売の強制を諦める可能性もあるように思います。

特に、定価販売を強制するメーカーの商品の売れ行きが下がった場合などは、メーカーは定価販売を諦めざるを得なくなる事でしょう。

多くの商品がそうであるように、結局、商品の売れ行きが悪ければ、定価販売は持続させるのが難しいと予想されます。


以上、考えられる将来を4つ挙げてみましたが、現時点では、この内、どの将来になるのかは全く解りません。

しかし、この定価販売の強制が成功した場合、他のメーカーでも追随する所は出てくるように思われます。

この流れが定着するのかどうか、注目していきたいと考えています。

 

※広く報道されるようになりましたので、メーカーの具体的な社名を追記しました。(2023/5/25)