ダボス会議という有名な会議があるのですが、その会議を主催する世界経済フォーラムが「新興テクノロジー・トップ10」というレポートを発表しました。
これは、300人を超える学者や専門家が、2024年時点での「今後3~5年の間に社会に大きな影響を与えるであろう技術(の上位10個の候補)」を選定したものです。
技術としてはAIが注目されている昨今ですが、AI以外にも世界を変える(社会に与える影響が大きい)技術として注目されているものがある事を忘れてはいけません。
可能性のある様々な技術を知っておく事は、今後のビジネス環境を予想する上でも有益ですので、ここでご紹介させて頂こうと思います。
ちなみに、今年の発表には、なんと、日本人が深く関わっている技術も含まれていました(最近、日本発で注目されている技術の話題が少なかっただけに、嬉しい話題ですね)。
では、早速、10個の新興テクノロジーのテーマをご紹介させて頂きます。
①科学的発見のためのAI(人工知能)
流行の生成AIではなく、科学的発見に繋がるAI技術。新しい素材を見つけたり、新しい薬を見つけたり、といった発見が期待されています。
②プライバシー向上技術
個人のプライバシーを守りつつ、データを共有して活用する技術。情報の管理(扱い)を大きく変え、健康関連研究に貢献する事が期待されています。
③再構成可能なインテリジェント・サーフェス
壁などの表面をワイヤレス通信用のコンポーネント(部材)に変える技術。ワイヤレス・ネットワークの効率改善が期待されます。
④高高度プラットフォーム・ステーション
航空機、飛行船、気球を利用したモバイルネットワークの構築技術。ネット接続環境の改善を通じ、世界的な情報格差(デジタルデバイド)の解消に繋がる事が期待されます。
⑤センシングと通信の統合
データの収集(センシング)と送信(通信)の仕組みを統合し、両者を同時かつ容易に行うことが出来るようになる技術。様々な環境モニタリング・システムの改善が期待されます。
⑥実世界向け没入型テクノロジー
メタバースなどを利用して、実世界の問題への対応を可能とする技術。特に、建築物についての課題チェックなどへの活用が期待されています。
⑦弾性熱量効果
弾性熱量効果という仕組みを活用した新しい冷却ソリューションに関する技術。冷却効率の改善が期待されています。
⑧微生物による二酸化炭素回収
微生物を活用して排出ガスを他の価値のある素材に変換する技術。気候問題への貢献が期待されています。
⑨代替家畜飼料
藻や食品廃棄物などを原料とした家畜用飼料を生み出す技術。食料問題への貢献が期待されています。
⑩移植ゲノミクス
遺伝子操作によって移植用臓器を作り出す(動物由来)に関する技術。臓器移植を必要としている患者の救済に貢献する事が期待されています。
以上が10の注目技術となります。
なお、日本人が深く関わっているのは、⑥の「実世界向け没入型テクノロジー」です。
竹脇出名誉教授(京大、現京都美術工芸大学長)がカルロ・ラッティ教授(米マサチューセッツ工科大)やランドリー・シグネ教授(米アリゾナ州立大)と連名で提案している技術、との事です。
内容としては、「イマーシブ・テクノロジー」(仮想空間を通じて現実を体感する技術)として、
・マルチステークホルダーのためのメタバース(仮想空間)を用いた空間体験の技術
・デジタルツインの技術
・メタバースによる遠隔設計監理の技術
などが急速に普及することを予測しているそうです。
これらの技術が、私たちの社会にどのような変化を与えてくれるのか、楽しみに見守りたいと思います。
※詳細は、世界経済フォーラムのサイトをご確認下さい。
https://jp.weforum.org/press/2024/06/world-economic-forum-identifies-top-10-emerging-technologies-to-address-global-challenges-07f7483ffa/