ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

自動運転の無人タクシーは既に実用段階って知っていましたか?

無人の自動運転のタクシー

先日、以下のような会話をする機会がありました。

相手「健康状態を考えると、運転が出来るのは、あと10年くらいかもしれません。その後は、地方での移動を諦めないといけないかもしれません。」

私「タクシーを利用するというのはどうですか?」

相手「数日かけて移動しないといけないような田舎に行く事もあるので、タクシーは難しいです。今は、レンタカーを借りて、自分で運転しているのですが。」

私「自動運転の車を利用するというのはどうですか?レンタカーになるか、タクシーになるかは解りませんが、値段もそこまで高くはならないと思いますよ。」

相手「そういう日が、いつかは来るかもしれませんけどね…」

私「いや、意外と早いと思いますよ。既に、自動運転タクシーは海外では実用段階に入っていますし。」

相手「え、そうなんですか!?」


実は、そうなのです。

もちろん、まだ大々的にサービスが提供されている訳ではなく、実験に近い段階ではあるのですが。

しかし、海外で、自動運転タクシー(運転手は乗っていません)が、街中を走っているのは事実です。

ですから、自動運転タクシーが日本でも実用化されるのは、意外と早いかもしれません。

そして、日本では、この事を知らない人が多い気がしたので、この記事を書いてみる事にしました。


日本で自動運転というと、「運転補助(補佐)」のイメージが強いかもしれません。

自動車会社のCMでも、「運転手がハンドルを離しても、車が運転してくれる」というイメージで自動運転が紹介されています。

あくまで、運転手が乗っている前提での「自動運転」をアピールしているように思います。

もう少し進んだ例でも、せいぜい、オリンピック・パラリンピックの際の選手村での自動運転バスが有名なくらいでしょうか。

その他の例だと、この5月からは慶應大学の湘南藤沢キャンパスで自動運転によるシャトルバスの運行が始まっているそうですが、これも、あくまで、敷地内での実験という域を出ていません(一部、公道は通ります)。


しかし、前述の通り、海外では、既に街中を運転手なしの自動運転タクシーが走っています。

例えば、サンフランシスコ(アメリカ)では、一般の人が利用できる自動運転タクシーが街中を走っています。

実験としての運行ではありますが、タクシーを呼んだ人の所まで、自動運転タクシーが自動で到着し、そして、目的地まで人を届けてくれます。

もちろん、まわりには、他の自動車や自転車が走っている中を、です。

ですから、限定的ではありますが、自動運転タクシーは、既に実用化されている事になります。

ちなみに、サンフランシスコは坂道も多い街ですし、路面電車まで走っています。

決して、自動運転が簡単な環境だとは思いません。


その自動運転の様子は動画配信されていますので、誰でも見る事が出来ます。

代表的な動画を以下に貼り付けておきますので、よろしければ、皆さまもご覧下さい。


※多くの人が自動運転タクシーを利用している様子が確認出来ます。

www.youtube.com


※少し冗長ですが、自動運転タクシーが到着する様子などは、こちらの方が解りやすいと思います。

www.youtube.com


この動画で取り上げられている自動運転タクシーのサービスは、起業家のカイル・フォークト氏が2013年に設立し、今はGM傘下で自動運転のサービス開発を行っている「Cruise」という会社が運営しています。

そして、アメリカで、自動運転タクシーのサービスを行っているのは、このCruiseだけではありません。

Waymoというグーグル系の会社もアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーのサービスを開始し、現在はサンフランシスコやニューヨークでもサービスを開始しています(ただし、許可の関係で、完全な無人運転が実現できている訳ではないようです)。


いかがでしょうか。

最新状況を良くご存じだった方にとっては、「そんな事は良く知っているよ」という話だったかもしれませんが、その他の方には、「もう、そんなところまで来ているの?」と驚いて頂けたのではないでしょうか。

そして、動画をみて、実用段階に入っている事を実感すると、

「日本でも、自動運転のタクシーやバスが実現するのは、意外と早いかも!」

という気になってきませんか?


商業サービスとして普及する過程では、今後、様々な問題も発生していくのでしょう。

しかし、冒頭の人のように、今後の移動手段について不安を持たれている方にとっては、明るい話だと思います。

また、最近、良く報じられる、「高齢者が免許を返納したいが、足がなくなるので返納できない」という問題の解決策にもなることでしょう。

期待を込めて、見守っていきたいと思っています。


※本文中で取り上げているCruise社ですが、2022年6月に「米カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)から運転手不要のロボタクシー事業に必要な免許を取得した」との報道がありました。当初の営業時間は夜間(午後10時から午前6時まで)に限定されるようですが、近々、30台規模での自動運転タクシーの商用サービスが開始される見込みです。(2022/6/10追記)