コンビニの店員から釣り銭を返して貰う時に、「プロだなぁ」と感じた経験をお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか(スーパーの店員でも結構です)。
最近のコンビニしかご存じない方には、「何を言っているんだ?」と思われるかもしれませんね。
しかし、昔からコンビニを使っていた方の中には、「確かに、そういう時代もあったな」と懐かしく感じて頂ける方もいらっしゃるはずです(周りに話してみた所、何名かからは共感を得られました)。
ピンと来ない方の為に軽く説明させて頂くと、昔、コンビニでベテランの店員に当たると、受け取った側が財布に入れやすいように、一瞬でお釣りの硬貨を綺麗に揃え、レシートと共に手渡ししてくれたものなのです。
また、そのような店員は、店内在庫やサービスについても熟知している事が多く、「プロだなぁ」と関心させられたものなのです。
なぜ、そのような事を思い出したか。
それは、ある時、
「コンビニの仕事なんて、誰でもできる」
という声を耳にはさんだからなのです。
そして、その声からは、コンビニの店員を全くリスペクトしていない事が伝わってきたからなのです。
それを聞いて、昔、コンビニの店員の仕事ぶりを高く評価していた身としては、悲しくなってしまいました。
同時に、昔の事を懐かしく思い出してしまったのです。
最近はキャッシュレス決済が普及し、セルフレジすら普及しました。
今、コンビニの店員に、「釣り銭を丁寧に扱う能力」など、求めるだけナンセンスなのでしょう。
しかし、それを言うなら、以前だって、そのような細やかなサービスの有無で店の売上が大きく変わるような事はなかったはずです。
では、なぜ、以前は店員は求められもしていないサービスに磨きをかけていたのか。
当時、何人かのレジ店員の方と話した経験から申し上げると、店の売上といった事よりも、店員自身が、「どうせ仕事をするなら、お客様に喜んで欲しい」や「自分のプライドとして、少しでも品質の高いサービスを提供したい」と考えていた事による部分が大きかったように思います。
そして、そのモチベーションは、コンビニの店員の仕事が客から評価される機会が多かったからこそ、保たれていたようにも思います。
今、コンビニの店員に、そのようなプロ意識は求められていないのでしょう。
コンビニ従業員の確保(人材採用)が厳しくなったり、店舗運営の効率化を進める中で、それは必然だったのかもしれません。
そして、「コンビニの仕事にプロ意識が求められなくなった」のだとすれば、冒頭でご紹介したような、「コンビニの仕事なんて、誰でもできる」という周りからの評価が生まれてしまう事も、また、必然であったのかもしれません。
しかし、今、コンビニの店員にとって、「客の為に頑張っている」と実感出来ている機会が減っているのだとすれば、それが、仕事をする上での「倫理観」などに影響がでないのかどうか。
コンビニは基本は物販ではありますが、飲食店という面もありますし、また、金融サービスの一旦を担っているという面もあります。
色々な仕組みで品質は担保されているのだろうとは思いますが、少し心配になってしまったりはします。
また、今回はコンビニでの話ですが、様々な業務にITが導入され、更に、対面での業務も減っている中、コンビニに限らず、「やりがい」を感じづらくなっている仕事は意外と多いのではないかな、と問題意識を感じたりもしました。