ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

スポーツカーを買うなら今が最後のチャンスかもしれない

騒音規制によって発売が難しくなるスポーツカー(車)

スポーツカーを買うなら、今が最後のチャンスかもしれないようです。

なぜならば、今後、スポーツカーを買えない時代が来るようなのです。


先日、「スポーツカーの受注を制限し始めているメーカーがある」という話を耳にしました。

この話を聞いた時、原因は半導体不足なのだろうな、と予想しました。

または、環境問題対応の為の「将来的なガソリン自動車廃止」の関係で、メーカーが生産体制を変えている所なのかもしれない、とも思いました。

しかし、受注制限は、このどちらの理由によるものでもないようなのです。

そして、少し調べてみた所、今後、

スポーツカーを新しく販売するのが難しい

という時代が来る事が解りました。


その理由とは何か。

実は、「騒音規制」という意外な理由によるものでした。


調べるまで全く知らなかったのですが、今年から騒音規制が厳しくなり、これまで販売してきた車の一部は販売出来なくなるのだそうです。

もう少し詳しく書くと、2020年から既に騒音規制が厳しくなっていたのだそうですが(騒音基準フェーズ2、70~74db)、既に販売を開始していた車種については、販売が継続できていたのだそうです。

しかし、その猶予期限が、2022年の10月に切れるのだそうです。

そして、スポーツカーの多くは、この騒音規制に引っかかってしまうのだそうで。

この為、以前から存在しているスポーツカーが普通に買えるのは今年まで、という事になるのだそうです。

もちろん、新しい規制に対応した車を作っているメーカーも存在しており、そういった車については、当面は販売が継続できるようです。

ただし、そのような車が出す音は本当に静かで、音も含めて、昔のスポーツカーが好きな人にとっては、満足するのが難しいようです。

なお、少しでも乗っている人の満足度を上げる為に、最近のスポーツカーでは、社内のスピーカーから人工的に音を流したりもしているのだそうです。

スポーツカー好きの人に満足して貰おうというメーカーの涙ぐましい努力が感じられます。


では、最近発売された静かなスポーツカーならば、今後も買えるのか?というと、それも難しいようなのです。

今後、更に厳しい水準の騒音規制が予定されているらしく(騒音基準フェーズ3)、今後は、「更に静かな車」しか発売できなくなるようです。

そして、その新しい規制をクリアする為には、エンジンの音だけではなく、タイヤなどにまで気を遣った車づくりをする必要があるそうです。

この為、昔からのスポーツカー好きの人に受け入れてもらえるような車を今後も販売するのは、かなり厳しいようです。

ですから、「いつかはスポーツカーを買いたいな」とお考えの方は、購入を急がれた方が良いかもしれません。

ただし、このような動きを知っている人は、既に駆け込みで車を買いに走っているそうです。

そして、その結果、冒頭で書いたように、既に受注が制限されていたり、取引価格が高騰したり、といった事象が発生している模様です。


※この記事では、スポーツカーと書いていますが、スポーツカー以外でも影響を受ける車はあるようです。また、この記事では、ガソリンで動く自動車を前提にしています。電気自動車(EV)のスポーツカーであれば、今後も規制をクリアできる可能性はあるかもしれません。


最後に少しだけ、この件についての問題提起を。

車にあまり関心のない層にとって、「うるさく感じる車」が存在する事は事実だと思います。

ですから、騒音規制は必要なのでしょう。

その一方、自動車は、日本の成長を支えてきた産業でもあります。

今後も重要産業であり続けるかどうかは解りませんが、少なくとも、軽々しく扱って良い業界だとは思いません。

そして、その産業が、「車が好き」という熱意を持った人たちによって支えられてきた事も確かであるように思います。

そのような事を踏まえると、度を超した騒音規制が車好きの若年層を減らし、結果として、自動車業界全体の衰退に繋がったりしないのかどうか。

余計な心配なのかもしれませんが、この辺りは少し心配してしまいます。

既に、車関係の産業からは、車好きの若者が減ったせいで、「人の雇用が昔よりも難しくなった」や「知識を持って入ってくる人が減り、教育が以前より大変になった」といった声が聞こえています。

今後、このような状況が悪化しない事を願って、この記事を終わりたいと思います。