ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

21世紀に入ってからの大型倒産のランキングを作ってみました

大型倒産 ランキング

マレリの倒産が、ほぼ固まりました(原稿執筆時点)。負債総額は1.1兆円ほどになる予定であり、久しぶりの大型倒産となります。

マレリという名前に聞き覚えの無い方もいらっしゃると思いますが、前身はカルソニックカンセイという日産自動車の系列の大型部品メーカーでした。最近はファンドが経営に深く関与していましたが、残念ながら、うまくいかなかった模様です。

この倒産劇、経営の観点からは、「ADRによる再建の限界」「ファンド(エクイティ)側と金融機関(デッド)側の運営責任の取り方」など、興味深い論点がいくつかあるのですが、マニアックになるので、このブログでは取り上げません。

それよりも、1兆円以上という債務の規模を目にして、

これって、最近だと何番目くらいの大型倒産になるのだろう?

と考え、過去に調べた資料を用いて確認してみましたので、その結果を公表させて頂こうと思います。

題して、

21世紀の大型倒産ランキング ベスト10!(負債総額順)

です(ワースト10と言った用が良いかもしれませんね)。

あまり古い大型倒産を取り上げても、その会社をご存じない方も多いでしょうから、21世紀になってからの大型倒産に限定してみました(ただし、最後に、2000年以前の大型倒産についても触れます)。

皆さまは、何社ご存じでしょうか。

※大型倒産には、破産、民事再生、民事更生など法的整理の全てを含めるものとします。

大型倒産の第1位:リーマン・ブラザーズ証券

2008年に倒産。負債総額は3兆4314億円。

米ニューヨークのリーマン・ブラザーズ証券の日本支社の倒産です。

これは皆さまも良く覚えていらっしゃるのではないでしょうか。

住宅ローン関連であるサブプライムローンの証券化で規模を拡大したものの、住宅バブル崩壊に伴って倒産。

そして、この大手証券会社の破綻は、単なる一企業の破綻では終わらず、世界金融危機の引き金となりました。

大型倒産の第2位:日本航空インターナショナル

2010年に倒産。負債総額は1兆5279億円。

これも、皆さま、良く覚えていらっしゃるのではないでしょうか。

JALとして知られる日本を代表する航空会社の一社でしたが、長く続く非効率な経営を変えられず、倒産。

政府主導で企業再生が行われた事でも注目されました。

大型倒産の第3位:タカタ

2017年に倒産。負債総額は1兆5024億円。

シートベルトやエアバッグなどの車の安全部品で世界的に有名な企業でした。

製造していたエアバッグに欠陥がある事が解り、世界的なリコールが発生。倒産となりました。

大型倒産の第4位:武富士

2010年に倒産。負債総額は1兆4949億円。

特徴的なテレビCMでも有名な消費者金融の会社でした。

過払い金問題が原因となって経営悪化。

なお、倒産時の債務総額は4336億円ほどと報道されていましたが、破綻後に過払い金の請求を受け付けた結果、債務総額が3倍以上に膨れあがりました。

大型倒産の第5位:マイカル

2001年に倒産。負債総額は1兆3881億円。

全国展開をしていたスーパーでした。倒産後はイオングループ傘下で再建に取り組み、現在はイオンに吸収されています。

倒産の直接的な原因については様々な報道もありましたが、基本的には、採算性が悪い店舗が多かったと言われています。

大型倒産の第6位:マレリホールディングス

マレリの倒産規模は、この順位になると予想されます。

2022年に倒産。負債総額は1兆1千億円程度(予定)。

理由としては、買収による規模拡大の失敗、半導体の供給不足による自動車の減産、競争力のある製品群を育てる事に失敗した、など様々な分析が出ています。

大型倒産の第7位:東京生命保険

ここから、ようやく負債総額が1兆円未満の倒産となります。

2001年に倒産。負債総額は9802億円。

中堅規模の生命保険会社でしたが、低金利による運用難(逆ザヤ)と信用不安(当時、生命保険会社の破綻が相次いでいる時期でした)により、倒産。

大同生命と太陽生命のもとで再建が進められる事になり、現在はT&Dホールディングスの一社。

大型倒産の第8位:日本振興銀行

2010年に倒産。負債総額は6805億円。

銀行の倒産ですが、ご存じない方も多いかもしれません。預金を集め、それを比較的高い金利で企業に貸し付けるという業務を手がけていました。

設立は2003年でしたので、急成長し、そして、倒産した事になります。

預金者保護の制度であるペイオフが実際に発動した初のケースであり、同行に預金していた一部の顧客は、実際に預け入れしていた資金の一部を失う事になりました。

大型倒産の第9位:日本航空

2010年に倒産。負債総額は6715億円

2位の日本航空インターナショナルの親会社です。

大型倒産の第10位:麻布建物

2007年に倒産。負債総額は5648億円。

不動産業。バブル崩壊に伴う不動産価格下落により業績悪化して倒産。

(おまけ)21世紀より前の大型倒産

21世紀に入ってからの大型倒産は以上ですが、参考までに、20世紀(2001年より前)の大型倒産についても、少し、触れておきたいと思います。

まず、20世紀最後の年である2000年には、以下のような大型倒産がありました。

・協栄生命保険(4兆5297億円)
・千代田生命保険(2兆9366億円)
・ライフ(9663億円) ※信販のライフです
・そごう(6891億円)
・日本ビルプロヂェクト(5617億円)
・インターリース(5600億円)
・西洋環境開発(5175億円)

実は、2000年は大型倒産が相次いだ年である事が解ります。ちなみに、協栄生命保険は戦後最大の大型倒産でした。


また、それ以前(1999年以前)の戦後の大型倒産としては、

・日本リース(2兆1803億円、1998年)
・クラウン・リーシング(1兆1874億円、1997年)
・日榮ファイナンス(1兆円、1996年)

などが挙げられます。


様々な大型倒産がありましたが、改めて見直してみると、個人的には、そごうの倒産が印象深く思います。また、経営の観点からは、タカタの倒産に学ぶ事が多いように思います。

皆さまにとっては、いかがだったでしょうか。


※債務総額については、算定の段階などによって差が発生します。この為、上記の金額は一つの参考であり、情報源によっては違う金額が掲載されている事があります(結果、ランキングの順位は集計者によって変わる事があります)。ご了解下さい。