ビジネスコンサルティングの現場から

各種ビジネス・コンサルティングに携わる担当者が、日頃、「考えている事」や「気が付いた事」を不定期に発信します。

多くの人は平均寿命よりも長く生きる事を知ってますか?

寿命中位数 死亡年齢最頻値 平均寿命

今、大人の貴方。

実は、「平均寿命よりも長く生きる可能性が高い」という事を知っていますか?

もし、平均寿命くらいまでしか生きられないだろう、という考えで人生をプランニングしているのであれば、急いで、見直しを始めた方が良いかもしれません。


人生設計に関する相談を受けていると、「何歳くらいまで生きる予定でいるか」という前提について、相談者の方とすり合わせをしないといけない事があります。

その時に、一般の方から良く出るのは、

「平均寿命くらいまでは生きる前提で」

「平均寿命+5歳くらいまでは、問題なく生活したい」

といった発言です。

この「平均寿命」、日本人にとっては、かなり身近な用語であり、かなり浸透している概念のようです。

しかし、ライフプランについてアドバイスする立場からすると、平均寿命は、あまり意識して欲しくない概念です。

なぜならば、平均寿命は、通常、相談されている方が所属するグループの平均が生きられる年齢ではないからです。

?と思った方は、ぜひ、最後までお読み下さい。


具体的に数字を入れて説明していきましょう。

日本人の平均寿命は男性で81.64歳、女性で87.74歳です(2020年時点)。

しかし、日本人のちょうど半分の方が亡くなると予測される年齢は、男性で84.58歳、女性で90.53歳です(2020年時点)。これを、寿命中位数と呼びます。

また、最も多くの方が亡くなる年齢は、男性で88歳、女性で93歳です(2020年時点)。これを、死亡年齢最頻値といいます。

どちらの数字を採用するにせよ、平均寿命よりも長いのは確認して頂けるのではないでしょうか。

平均寿命との差は、寿命中位数の場合で男性で2.94歳、女性で2.79歳。

死亡年齢最頻値との差だと、男性で約6歳、女性で約5歳となります。

※寿命中位数は、厚生労働省発表の「令和2年簡易生命表の概況」より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life20/index.html

※死亡年齢最頻値は、内閣府男女共同参画局「高齢期の女性の経済状況について」より(完全生命表をもとに内閣府男女共同参画局が作成)


実は、平均寿命とは「0歳時点における平均余命」です。

計算方法としては、「現在0歳の集団を仮定し、その集団が、毎年、年齢ごとの死亡率で死んでいくと仮定して、集団に属する人全ての寿命を求め、その平均を計算する」といったものです。

良く解らない方は、「既に成人している自分は、生まれてから時間が経っているので、平均寿命は、自分が所属するグループの多くの人が生きられる年齢の平均とは異なってしまっている」と考えて頂ければ十分です。


さて、改めて、自分が死ぬまでの年数を考える上で適切な概念について考えてみて頂きたいと思います。

恐らく、多くの方が「自分が平均的に生きた場合の、死ぬまでの年数」としてイメージする年齢とは、「平均寿命までの年数」ではなく、「死亡年齢最頻値までの年数」ではないでしょうか。

中には、「寿命中位数の方が自分の考え方に合っている」という方もいらっしゃるかもしれません。

どちらにせよ、健康面などで既に問題を抱えている場合などは別ですが、そうでない方の場合には、平均寿命を前提として頂きたくないのです。


老後のライフプランを考える上で、「何歳まで生きるのか」という前提は非常に大切です。

ライフプランの専門家はファイナンシャル・プランナー(FP)ですが、私が知る限り、真剣にクライアントのライフプランに取り組んでいるFPが提供しているFP相談であれば、このような点には、当然のように配慮したプランニングを行っています。

しかし、残念ながら、このような点すら理解していないにも関わらず、老後のライフプランニングに関係するサービスを提供している事業者もいると聞きます(有資格者以外がFP相談という名前でサービスを提供している事もあります)。

ですから、老後のプランニングをされる際には、ご自身で十分に勉強されるか、信頼できるFP相談を活用するようにして下さい。

※他に、「健康年齢」といった考え方(データ)もありますので、そういったデータも必要に応じて参考にして下さい。